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横浜事変-the mixing black&white-
相手の出方を知っている両者に後ずさりはできない
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うにロシアから来たヘヴンヴォイスがいる。やはり彼らは殺し屋統括情報局を潰そうとしているのではないでしょうか。そうなると、赤島さんの言う通り仲介人がいても……」

 『なら、どうして彼らはこんな中途半端な時期に我々を潰そうと目論んでいるのですか?それに、二つの勢力を纏めた仲介人はロシアの殺し屋とのツテがあるということになります。そんな強大な人間がこの街にいるとは思えませんが』

 「……大河内」

 赤島が静かに彼の名を呼んだ。その目は『これ以上は水掛け論だ』と訴えていた。

 こうして作戦は決行される事になったのだが――作戦内容の一つに大きな問題点と危険が含まれているのは誰もが気付いていた。

 「……ねえ、私を殺したいの?」

 怨嗟の声でそう言ったのは宮条麻生。いつもの手入れが行き届いていない黒髪をくしゃくしゃさせながら、電話越しの高橋を殺すかの勢いで言葉を吐き捨てている。

 「私がどうしてこんな恥ずかしいことをしなくちゃならないの?社会的に潰す気?それともこの世から本当に消し去りたいの?私が逆に貴方を殺せば文句はいらないのかしら?」

 「……ま、まあまあ落ち着けって宮条。お前ならやれるって」

 「いくら先輩だからって容赦しないですよ、赤島さん。私は嫌です」

 赤島が(なだ)めても、宮条はその事案に対して首を縦に振ろうとしなかった。

 問題となっているのはチームBの作戦内容。彼らが敵と接触する前に、『宮条が敵の前に出てきて一緒に目的地まで向かう』という下準備のような手順が用意されていたのだ。しかしそれでは単に危険が伴うだけだ。そこで本部が考えたのが――

 「……なんで私がサイズの合わないパンツスーツを着て胸を誇張しなければならないの?」

 「そりゃお前、奴らが男だからだろ」

 「……赤島さん、一度死にますか?」

 普段は無口で感情表現も希薄な彼女だが、このときだけは誰よりも言葉を連ねていた。彼女は一蹴する度に何故か大河内を睨みつけ、彼は慌てて「僕が考えたわけじゃ……」と弁解する。そんな理不尽な絵が生まれていた。

 高橋が受話口から説得しても、宮条は頑なに拒否した。あまりにしつこくなると投擲用のナイフを携帯電話に向けたりして、その度に赤島や法城が彼女を落ち着かせるために動いていた。

 誰もが『作戦は延期か……』と考えていたそのとき、新たな人物が殺し屋達の描く丸い円に入り込み、形を簡単に崩した。

 「なら、殺し屋世界ナンバーワン美少女の私、玉木鈴奈がその役割担ってあげよっか?オバサン」

 「た、玉木……」

 爆弾落としやがって、とでも言いたげな苦みを帯びた顔をする法城を完全無視し、宮条に嘲りの言葉をぶつけたのは鈴奈だった。彼女は円の内部で仁王立ちし
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