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横浜事変-the mixing black&white-
相手の出方を知っている両者に後ずさりはできない
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周りの女性と比べて長身で、女性用のパンツスーツに身を包んでいる。スラっとしたモデルのような足や形の良い胸辺りがスーツ越しに浮かび上がっており、正装なのにどこか魅惑的だった。黒髪は肘辺りまで伸びていて、どれもが重力に逆らわず清流のように流れている。とても清楚で可愛らしい女性ではあるが、ほとんどの殺し屋は興味なさげな顔をしていた。要もその一人で、誰もが心中で呟いたであろう言葉を唱える。

 ――だって、俺より背高いんだもんな。

 メガネが困った顔をして、女性に「すみません」と言った。

 「我々はこれから仕事でして、貴女を連れては行けないのです」

 「そ、そうですか……。じゃあ、お礼をすればいいですか?」

 「お礼、とは?」

 「えっと……身体」

 ――何ぃ!?

 要が目を剥いて女性を見やった。その反応が全員同じだったのが癪だったが、今はそれどころではなかった。メガネはやや引きつった顔で何とか否定しようとする。

 「あの、我々はそういった淫らなことは……」

 「私、Eです」

 「……メガネ、他の奴らの顔を見てみろ」

 要は女性と話す彼の耳でボソッと呟いた。それを聞いた彼は周りの殺し屋達の方に首を捻り、驚き半分呆れ半分といった顔をした。そして吐息を漏らすと、女性に振り返って言葉を口にする。

 「どうやら連れが貴女を歓迎しているようだ。ご一緒ください」

 「はい!ありがとうございます!」

 女性が本当に嬉しそうにその場で軽くピョンピョンする。その度に胸が上下し、男達はそれを見て感嘆を漏らした。要も危うく彼らと同じ反応を起こしそうになり、すぐ顔を背ける。

 ――俺は別にそんなことどうでもいいんだ。胸揉みたいとか、そんな考えは決してない。ない!

 手で何度か頬を叩き、それから気色悪い同業者らに対してこう言ってやる。

 「そこの人は後で回せばいいだろ。それよりも今は仕事だぜ、変態ども」

*****

同時刻 横浜駅周辺

 ケンジ達チームBは駅付近の大通りを歩きながら、前方を行く裂綿隊を陰ながら監視していた。全員違う服を着ているが、中には共通して防弾チョッキを仕込んでいる。もちろん組織が手を結ぶ商社から買い取った正統な物だ。

ケンジはすでに何ヶ月も殺し屋をやっているが、こうした尾行の訓練は受けていない。過去に狩屋が「お前は尾行出来るような奴じゃねえからいいだろ」と言っていたのを思いだし、思わず笑ってしまう。

 彼より少し前を行く赤島達は、さすがプロと言うべきか、目を敵に固定しながら身体を揺らり揺らりと動かして自然と人混みの一部と化している。ケンジはどうしても裂綿隊を意識してしまい、なかなか彼らのような動きが出来ない。そんな中、いつの間にいたのか
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