空白期 第18話 「金色の少女達」
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いて来る。
データ収集用に調整された訓練室から出ると、ユーリがタオルとドリンクを抱えてこちらに向かってきているのが見えた。パタパタといった表現になりそうな可愛らしい走り方だ。俺の前まで来ると、持っていたものを差し出しながら太陽のような笑顔を向けてくる。
「ショウさん、お疲れ様です」
これといって汗を掻いているわけではないが、ユーリの好意を無下にするのも悪い。それに彼女は、レーネさんやディアーチェ達に可愛がられているため、泣かせるようなことがあれば……考えるのはよそう。
「ありがとう」
「気にしないでください。これもわたしのお仕事ですから」
いや……ここまでするのはユーリくらいだと思う。シュテルからこういうことされた覚えはないし。レーネさんは時間があれば何かしら奢ってくれたりしたけど。
などと考えていると、ユーリがさらに何か取り出した。意識を向けてみると、彼女の小さな手の平に納まるサイズのドリンクが見えた。
「セイバーもお疲れ様」
「いえ……ありがとうございます」
ドリンクを受け取ったセイバーは淡々と飲み始めた。
――今までに何度か見た光景だけど……データ収集のときくらいにしか会わない俺には、やはり見慣れない光景だ。かつてのユニゾンデバイスがどうだったかは知らないけど、デバイスが飲食するような時代が来たんだな……前回はおやつにって出されたドーナツを食べてたけど、あの体のどこに入るんだろう。
燃費が悪いと言われているアウトフレーム機構を搭載した試作型ユニゾンデバイスだけに、イレギュラーのようなことはありはするだろう。
まあ食事が出来るということに関しては、俺にとっても将来的にユニゾンデバイスを所持するであろうはやてにとっても嬉しいことではある。しかし、アウトフレーム状態ならまだしも普段の大きさでセイバーほど食べるのは……。
「……ん? マスター、どうかしましたか?」
「いや……別に何でもない」
「そうですか。なら良いですが……」
もう少し稼働時間が長かったならば俺の思考を理解できたのかもしれない。今回に限っては理解できなくてよかったとも思うが。
「ショウさんもすぐに慣れますよ」
「ん? うん……そうだといいけど」
「大丈夫です。今後セイバーに会う機会も増えますから……って、これじゃショウさんの負担が増えるって言ってるのと同じですよね」
自分を責めているのか、ユーリの顔色が曇っていく。悪気があって言ったわけでもないし、今後忙しくなるのは前から決まっていたことだ。それに
「テストマスターが俺の仕事なんだから気にしなくていいよ」
「でも……ショウさんは学校もありますし、家のことも……」
確かに学校は大切だし、レーネさんが多忙かつ家事力も低レベルであるこ
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