二十四章 幕間劇
烏と雀と三人での遠足
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ところ随分と急がしそうにしとったからの。地上と上空を行き来するところを最近はよく見るようになったから、たまには息抜きも必要じゃろう。なあ、幽」
「公方様がよろしいのでしたら、異存はございませぬ」
許可が下りたから、ホッとしたけど。ダメと言われたらどうしようと思っていたけど、俺の後ろで小さな息が重なったように聞こえた。
「では、参るとするか」
「は?」
「遠足に行くのじゃろう?ああ、弁当の数は気にせずともよい。もう昼飯は食べたからな」
「ふえっ?公方様も?」
「・・・・・」
一葉が一緒だと、せっかくこの二人がデートに誘ってくれたようなもんだからなのか。一葉がそう言うと俺達三人は複雑そうな顔をした、なぜに一葉も一緒について行くのやら?雀たちは俺と行きたいのにな。
「なんじゃその顔は。余が行ってはまずいのか?」
「まずいです」
ぴしゃりと言い切られたので、一葉はぷくっと頬を膨らませる。俺もそう思った、まずいとな。
「なんじゃ幽、余には息抜きをする資格もないとでも言うのか?」
「そうではございませぬ。ですがこれから久遠様の元へ参る約束をしていたではありませぬか。まさか、お忘れとは言いますまい」
「そうでなら尚更言うが、俺らの遠足よりも久遠のとこに行く方が重要なのではないのか?」
「うっ、お、覚えておった!もちろん、覚えておったぞ!」
あの顔は一瞬忘れかけていた表情だな、それと俺と幽が重なって言ったのか重要性はどっちだと言いたいくらいだ。
「そういう訳なので、今回は一真様の言う通り遠足より久遠様のとこに行くのが重要です。行きますよ、公方様」
「うーーーーーっ」
遠足に未練がある様子の一葉は、その場で悔しそうに地団駄を踏んでいたが早く行った方がいいのでは?
「・・・・仕方ない、今日のところは諦めるとしよう。ああ、そうじゃ、烏に雀」
「はい?」
「・・・・・」
緊張した面持ちの二人に向かい、一葉が着物の袂から巾着袋を取り出した。
「お干菓子じゃ。おやつに持って行くがよい」
「わー・・・・あ・・・・」
受け取って中身を覗いた雀の笑顔が、一瞬にして固まる。俺も覗いてみると入っているお干菓子の包みは一つだけだったので、俺の分はともかくとして烏と雀で取り合いになりそうなビジョンが浮かんでならない。
「はて、おかしい。さっきまで山ほどあったというのに。どこに消えてしまったかの」
「・・・・それは、公方様が山ほど召し上がったからではございませぬか」
「・・・・余が食べたのか?うむ、そういえばそんな記憶がなきにしもあらずじゃ」
「公方様・・・・」
呆れたようにため息をついてから、幽が自分の着物のたもとに
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