第21話 中国に降り注ぐ豪雨
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豪は今までの記憶から、それの正体を思い出していた。
「‥‥‥‥‥‥‥‥雨‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ハッ!!」
そうつぶやくと同時に、豪は繭の中で苦しみ始めた。
「うぐッ‥‥‥‥うぅ、あああぁぁぁぁッ!!」
豪の頭の奥には一人の女の子が立っていた。
しかし、記憶にない。知っているのに。彼は頭を押さえて叫んだ。
「誰だ!?誰?誰誰!?誰だれダレ!!?
あああああぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁあぁぁぁッ!!!!」
豪は繭の中を暴れまわった。
「豪さん!今助けるから!!」
そう言って糸を必死に引き裂こうと引っ張るが、どうしても引き裂けなかった。
彼女の手は力の入れすぎで、皮が?け、血で滲んでいた。
「はぁ、はぁ、はぁ、」
雨はその場にへたり込んだ。どうしても豪の前の糸を壊せなかった。
「うっ‥‥‥‥‥だめだ、壊せないよぉ‥‥‥‥‥‥‥グスッ‥‥‥‥」
彼女の言葉遣いがかなり幼くなっていた。
これも能力の使い過ぎによる影響である。
「豪さん‥‥‥‥‥会いたいよぉ‥‥‥‥‥‥‥‥」
彼女は涙を流しながら叫んだ。
キィィィィン!
『豪さんのお返事!!まだ聞いてないからぁ!!!!』
「そうだ!雨!!」
豪は彼女の名を全力で叫んだ。
「雨ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!!!!」
「豪さん!?」
雨は顔を上げた。確かに豪が自分の名を呼んでいた。
「豪さぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーんッ!!!!」
しかし、豪には聞こえていないようだった。
繭の中で必死に彼女の名を叫んでいた。
「どうして‥‥‥‥‥‥?」
そして、この糸の事を思い出した彼女は
能力で彼との対話を試みようとした。
ズキンッ!
「痛っ!‥‥‥‥‥‥‥構うもんか、豪さんとお話するんだ!!」
彼女の鼻血がボタボタと地面に落ちた。
キィン!
『豪さんッ!!』
「雨?お前なのか!?」
ついに対話が成立した。
キィ‥‥‥‥ン!
『豪さん!早く出て来‥‥‥‥‥‥‥痛ッ!』
繭の外の影がへたり込んだところを見て気付いた豪は叫んだ。
「そこか!今行く!!」
豪は繭を引き裂こうとしたが、彼の力でも裂けなかった。
繭に手を叩き付け、豪は叫んだ。
「クソッ!何だこれは!!」
この繭は、豪の心が作り出した“心の壁”ならぬ“心の繭”である。
ディーンからの精神の破壊を少しでも抑制するために
彼の心が無意識に作り出したのだ。
だが、ディーンの能力は相手の精神を乗っ取る能力。
その心の繭をも自在に操ることが出来るのだ。
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