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あかつきの少女たち Marionetta in Aurora.
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車体が土煙を上げながら滑り込んだ。
「遅いですよ!」
「すまん! と言うかお前、撃ってないな!?」
運転席の窓から、蔵馬がモモに怒鳴る様にして言った。
「撃ってません!」
「ならいい、乗れ!」
「はい!」
モモは地面に尻を置いたままの美希を、もう何度目かの引き揚げを行い後部座席に飛び込んだ。
二人が乗り込んだのを確認して、蔵馬はハンドルを勢いよく回し、アクセルを思いっ切り踏み込む。エンジンが唸り、駆動輪が砂利の地面に噛み付く。ヴェゼルは猛牛の如く駆け始めた。
もはや呆然と見送るしかないヤクザ達を背後に、駐車場を飛び出したヴェゼルは違法速度を大幅にオーバーしたスピードで走り去っていった。
残ったのは土埃と出来立ての轍、そして六人のヤクザだけ。
「……一体何なんだ……」
誰かが呟く。もうそれ以外に言葉が見つからない、そんな顛末だった。
センターに事のあらましを報告し終え、蔵馬は携帯をダッシュボードに放り投げた。
蔵馬、モモ、そして美希を乗せたヴェゼルは首都高速に乗り、奥多摩に向かっている。
警察の出動が懸念されたが、幸いなことに警察には数本の『女子高生が怪しい男に追われている』という通報があった程度で済んだようだ。
蔵馬に顔面を下ろされ、モモに銃を突き付けられたヤクザ達は警察に気取られることなくあの町から消えたようだ。彼らも脛に傷のある連中だ。警察の世話になることだけは避けたかったのだろう。少なくとも一人は確実に銃刀法違反である。
蔵馬はバックミラーで後部座席を窺う。
もう完全にくつろぎモードに入って窓の外を眺めているモモと、いまだに状況を呑み込めずに固まっている美希。
「随分と写真と印象が違うな」
「んえ、あ、あたし、ですか?」
「君だ。資料の写真と比べると、少し垢抜けて見える」
「あー、えっと、髪の毛のせいですかね」
「そうかもな。綺麗に染まっている」
「あ、ありがとうございます……」
声を掛けられて、美希の緊張は幾分か取れたらしい。
伸ばしていた背筋から力を抜き、背もたれに身体を預ける。
「クラマさん、茶髪の方がいいんですか? 染めましょうか?」
「お前はいい。失敗してデザートパターンみたいになるのが目に見える」
ぷうっと膨れて抗議の意を表明するモモに、美希はようやく、乾いてはいるが小さく笑みを取り戻した。
「あの、あたし今どういう状況にいるんですか?」
「詳しいことは俺の上司が君に話すだろうが……ともかく斎藤美希、君は今から俺たち国立児童社会復帰センターの保護下に置かれる。本来は護衛とかしない組織なんだが、君は事情が少々異なる。そして状況だが、そもそも俺たちもイ
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