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あかつきの少女たち Marionetta in Aurora.
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「てっめ……許さねえ……!」
殴り飛ばされて失神していた軽薄男が起き上がった。
ジャブを食らった右肩は脱臼しており、激痛に脂汗を浮かべている。
そして動く左手には、懐に隠し持っていた回転式拳銃が抜かれてモモを向いていた。S&WのM10だ。
「骨董品みたいな銃使いますね。博物館から盗んできたんですか?」
「ンだと、てめえ……!」
「ちょっ! モモ!」
挑発するようなモモの言い草。軽薄男は青筋を立て、美希は拳銃を持った相手を煽るモモに悲鳴を上げる。
モモは怖気づくことなく続ける。初めの一言で、いや抜いた瞬間に撃ってこなかったならば、軽薄男は既に発砲する機会を逃している。分水嶺さえ見誤らなければ、恐らくもう撃ってはこない。
「あなた、利き手は右手ですよね? 左手で撃って当てられるんですか?」
「試してやろうか……!」
軽薄男はM10を握り直しながらも、その手が震えている。
銃を向けられても臆することなく、むしろ生き生きと話し出すモモの異常さに、軽薄男は苦痛とは別の、冷たい汗を流していた。
「あ、どうせならゲームしましょう」
「は?」
突拍子のないモモのセリフに、軽薄男はトリガーに掛けていた指の力を思わず緩める。
ゲーム。そう言ったモモは、戦闘の構えを解いた。
目を細め、無邪気とも妖艶とも見れる笑みを湛え、トランプでも取り出すかのような気軽さで、腰に手を回してブレザーの下のホルスターからPx4を抜いた。
銃口を軽薄男に覗かせ、安全装置を親指で解除する。
「どっちが先に我慢出来ずに相手を撃ち殺しちゃうかゲーム!」
「なっ…………!」
呑気に言い放つモモに、絶句するヤクザと美希。
彼らの視線はモモのPx4に集中する。ポリマーフレームの、一見オモチャにも見えるその銃は、しかし多くの命を奪ってきた武器のみが持つ瘴気を纏っていた。
「先に相手を撃ち殺した方が負けですよ。罰ゲームは死体の片づけです」
モモの勢いに飲まれて、誰も口を挟めない。
状況の異常さに、モモを除く全員が着いて行けずに思考をフリーズさせていた。
じゃあ、始め――。
モモはそう告げようとした瞬間。
駐車場に一台の乗用車がエンジン音を響かせながら入ってきた。蔵馬のヴェゼルだ。
砂利を撒き散らしながら爆走するヴェゼルはスピードを全く落とさず、全員を轢き殺さん勢いで駆動してくる。いや、実際そうしようとしているのかもしれない。そんな気迫と殺気を感じる走り方だった。
モモたちまで十メートルを切った地点で、ヴェゼルは車体を横に滑らせてドリフトで制動を掛ける。
「うおおおぉ!!?」
ヤクザ達は突っ込んでくるヴェゼルを辛うじて避け、彼らがいた空間に黒い
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