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あかつきの少女たち Marionetta in Aurora.
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!」

 蹴り躓きながらモモの後に引かれる美希は、戸惑い混じりの悲鳴を上げる。
 それを引きずる様にしながら、モモは後ろに首を少し回した。
 男たちは案の定、モモたちを追ってきていた。
 人を躱しながら、モモは路地を曲がる。

「待てやオイコラァ!」

 後方でドスの効いた怒鳴り声が響く。
 振り返って様子を窺うと、軽薄男が携帯電話で誰かに連絡を取っている。脇の二人はまるで鬼のような皺を顔面に彫っていた。物凄く怖い。
 蔵馬と連絡を取りたいが、今は逃げるのが先決だ。こんな人の多い場所で義体の力を発揮する訳にはいかない。それに銃を持った相手を殺さずに、美希を守りながら戦う自信がなかった。こちらも銃を抜ければ話は別だが、今は蔵馬に拳銃の使用を禁じられている。
 ともかく連中を巻くか、少なくとも存分に暴れられる場所まで移動しなければならない。
 二人は右へ左へ、厚木の街を駆け巡る。

「ちょ、モモ……速い……!」

「急いで! ――っぁ」

 足を縺れさせて転びかける美希に気を取られ、モモの方が前方不注意になっていた。
 気付いた時にはもう遅い。
 走行路横の細い路地から、モモの正面に髪の長い女性が飛び出していた。
 彼女の方も前以外に意識が向いていたらしい。
 両者は勢いよくぶつかり、道路にすっ転んだ。

「あうぁっ!」

「アイヤァ!」

「うわわっ!」

 モモと長髪の女、そしてモモと手が繋がっていた美希も巻き込まれて転倒し、三者三様の悲鳴を上げる。
 モモは即座に立ち上がって美希を引き起こし、

「ごめんなさい!」

 謝罪を叫びながら再び走行を開始した。
 今の転倒で距離が大分縮まってしまった。もう十メートルも無い。モモ一人なら難なく逃げ切れるのだが、如何せん美希の足が遅い。
 このままでは追い付かれるのは時間の問題だ。距離を稼がないといけない。
 なにか手は無いか、周囲を詮索するモモの目に、道端に違法駐輪されている自転車が留まる。
 モモは右手の美希を強く引いて、投げる様にして前へと送り出した。

「のわっ」

 ひっくり返ってスカートの中を公衆に晒す美希に内心で謝罪しながら、モモは自転車のフレームを片腕で掴む。
追ってくる男たちはモモの常識はずれな膂力にまず驚き、そして自転車をどうするつもりなのかを察して顔を青くした。

「おりゃ!」

 横スイングで投擲された自転車は、ブーメランのように回転しながら男たちを薙ぎ倒した。追いかぶさる自転車を蹴り飛ばして起き上がろうとする男たち。彼らを横目に、モモは何が何からで状況が呑み込めずに涙目になっている美希の手を引き、また走り出す。

「あっ!」

 美希が声に、モモは首を後ろに返す。

「どうしました
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