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命の荒野
第3話 燻り
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かれ、テロリスト達は息絶えていく。青白い荒野の一角に、不自然に明るい炎が上がり、一帯を照らし出す。バルスタン基地までは、その明るい炎が焼き殺す男たちの悲鳴は届かなかった。

「……これが戦争だぜ。思い知ったか。ま、もう遅いけどな」

遠くに上がる炎を見つめながら、重岡は嘲るような声を上げた。


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「……最近また、ロケット弾攻撃が再開されています。何か原因として思い当たる事はありますか?」

基地の司令室には、松見中佐と、松見に招かれた遠沢がそれぞれソファに腰掛けていた。遠沢は松見が入れた緑茶を啜っており、その無表情が心なしか緩んでいた。異国の地に長く居ると、こういったささやかなものでも、日本的なものが出てくると嬉しいものだ。それくらい、母国が恋しくなってしまうのも無理はない環境ではある。この中東の灼熱の地は、ここしばらくの間だけで、遠沢の顔を少しばかり赤く焦がしていた。

「ルクハイド市民からの我が軍の評価はけして悪くありませんよ。この辺りを仕切っている北部同盟は中央政府との融和路線ですし、市長も各地区の主張も殆どが支援事業には感謝の念を示されていました。不満の種としては、相変わらず改善されない失業率でしょうが、それに関してはこのガス田事業は現地民に雇用機会を与えている側ですからね。私達にその矛先が向くとは考えにくいです。労働者の不満は今のところはいつまでも続く首都での王族内の内輪もめに向いてますよ。あれのおかげで、首都に向かって出荷するセメントの需要が下がってますからね。資料をご覧になりますか?」

ルクハイドに住み着いて、様々な所と接触を図ってきた遠沢が街の様子をスラスラと述べる。もう市長や首長達と接点を持てたのかと、遠沢のフットワークの軽さに松見は驚いた。遠沢が持ってきたレポートには、それぞれの首長との謁見の様子や、労働者へのインタビューの内容が細かに記されている。それをペラペラとめくりながら、松見は感心しきりに頷いた。

「ルクハイド市民など、付近住民が関与していないとなると、犯人は革命党かクルジス解放戦線でしょう。しかし、それほど気にかける事も無いと思いますよ。ルクハイド市民の支持をこれまで通り得ておけば、そもそも地方都市でよそ者が入り込みにくいんです、あそこが拠点になる事も無い。よしんば一部市民に協力者が出ても、情報がすぐに伝わるでしょうしね。この荒野を、要塞攻撃用の戦力を率いて行進してくるようなら、それこそ対応は簡単です。この基地自慢の迎撃設備で焼き払う事ができましょう。」

アザディスタン革命党と、クルジス解放戦線。この二つがアザディスタンに巣食う二大反政府組織である。前者は、腐敗した王政に反対し平等な国家
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