第二章
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ドを交換した。だが返事は今一つ返りが悪いのである。
「そういやあの人相当遊んでるって自分でも言ってたな」
自分の部屋で携帯をいじりながら呟いた。ホテルでの話を思い出していたのだ。
「彼氏とか別にいないって。そんな人なのかな」
実際にそんな人だった。けれどまあ経験できたからいいな、と満足している部分もあった。その辺りは結構気持ちが入り混じっていたのである。
「折角彼女ができたと思ったのにな。あそこまでいってもそうともばかり言えないんだな」
何となく男女関係のそうした部分を知ったみたいな気になった。それで少し鬱な気持ちにもなった。
「彼女か」
そしてまた呟いた。
「欲しいのにな」
そんなことを思っていた。けれどどうにもできそうには思えなかった。そのままぼんやりと天井を見ながら寝転ぶ。そして携帯を放り出して何も結論が出そうにない考えに耽るのであった。
そんな日が暫く続いた。結局その桜商業の三年の人とはそれっきりであった。気付いた時にはメアドが変わっていた。どういう事情かわからないが変わっていたのは事実だった。それで結局その人とは切れてしまった。
「で、終わりかよ」
「ああ」
クラスでまた仲間で集まって馬鹿話をしていた。そこでその人と終わったことを彼等に言ったのであった。
「メアド変わってたよ。で、連絡もつかないんだ」
「ああ、あの人しょっちゅうメアド変えてるぜ」
「そうなんだ」
「俺もあの人と少し一緒になったことあるからわかるんだ」
「っておい」
康則はその仲間を見て顔を顰めさせた。
「じゃあ俺と御前は兄弟なのかよ」
「別にいいだろ、付き合った時間が違うんだからよ」
「そうだけどよ」
だがやはりいい気持ちはしない。何か憮然としてきた。
「三回程デートしてホテル行ってな。それっきり」
「そうなんか」
「ああ、あの人それでメアド変えて。縁が切れたよ」
「けど何でそんなにしょっちゅうメアド変えるだ?」
「派手に遊んでるから変な男が寄って来るんじゃねえの?」
仲間内の一人が言った。
「それか?」
「そうじゃねえの?ああした人にはよくある話だぜ」
「ふうん」
「何ならあの人の学校まで行くか?それでよ」
「いや、、いいよ」
だが康則はそれをしようとは思わなかった。
「そこまでしなくてもさ」
「じゃあこのままお別れか」
「あっちとしてもその方がいいんじゃないかな」
「遊びってわけか」
「だろうな。俺もそう割り切った方がいいだろうし」
康則の言葉は無理に素っ気無い言葉を出しているようであった。彼は自分でそう言って自分自身に言い聞かせていたのである。
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