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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第二十一話 謁見、二つの王道
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」だけが答えであり、信念になる。それを追い求め、それを掴んで命を潰えさせるならば、これほど上等の人生はない。

「俺は違う。人が生きる道に迷うこと、それは底なしの泥沼にはまっていく感覚に似ている。生き方が分からなくなった者は、その苦しみから抜け出せずもがき、苦しむ。ゆえに民の幸福とは、その生に迷わぬ道筋を見出すことだと俺は考える」

 迷わぬ道筋、か……ああ。一本道を脇目も振らず走っていれば、他のことには耳目を向けなくてもいい。それは本当に楽で、イタイタしい生き方だ。

「俺の国では決して脱落者を生まぬ。王とは民に生きる道を指し示さねばならぬ」
「それがあなたの使命……あなたの王道ですか」

 ガイアスは厳かに首肯した。

 くそっ、ウィンガルとジャオの勝ち誇り様(ドヤがお)が癇に障る。貴様ら、自分の主人がちょっとカッコイイことを言ったからといって調子に乗るなよ。

 まあしょせんは個々の人生哲学問答だ。意外な脇道に逸れたが、本題はガイアスがイル・ファン挟撃に応じるか否か。それさえ確約が取れれば――――クレイン? どうしたんだ。目が据わってるぞ。

「ガイアス王。先ほど脱落者を生まないとおっしゃいましたね」
「言ったが、それがどうした」
「ならばこのエリーゼはどうですか。彼女をあなた方に売らねば生きる術のなかったイスラは。親を亡くした人間は、罪を犯さなければ生きられなかった人間は、脱落者とは呼ばないのですか?」

 ――何が始まったんだ。
 ガイアスの言霊で充満していた空気が、クレインの一言一言で穿たれていく。

「あなたのやり方を責めるつもりはない。私は領主です。一時(いちどき)に全ての苦しむ領民を救済できるわけがないことは痛いほど知っています。あなたが脱落者と言う種の民も見てきました。ただ、上から掬い上げられるほど軽い人間など一人もいなかった。だから私は想うのです。王とはその高みより下り、民の傍らにて民の苦楽を見守る。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、と」

 ガイアスとクレインの間に火花が散るのが見えるようだった。
 ――天道(てんどう)()道《どう》。導くか寄り添うか。
 民を思いやりながら、両者の往く王道は大きく異なる。

「――、お前たちをここに呼んだ理由を、単刀直入に話そう」

 折れた!? あのガイアスが、「王」の土俵で論破されながらそれを放って論点をすり替えた。
 信じられん……一部とはいえ、このクレイン・K・シャールという男、王としてガイアスを打ち負かした。

「マクスウェル。ラ・シュ
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