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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第二十一話 謁見、二つの王道
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ガルもジャオも答えない。
ラ・シュガル革命に必要な戦略ではあるが、同時に自国を守ることにも繋がることは、ガイアスにもウィンガルにも理解できたはずだ。
「その要求の答えを出す前に一つ問おう。一つの戦のために二つ三つと別の戦を望む。その矛盾に貴様は気づいて」
「分かっています」
即答か、クレイン。
「矛盾と、その罪深さも。だから、もし貴方がこの取引に応じてくださって、本当にラ・シュガルに軍を向けたなら、事を成した上で貴方をも退けましょう。私自身のこの手で」
おい。とんでもない発言をしたぞ? この台詞はつまり、クレインがラ・シュガル王になった上でガイアス率いる軍と戦い、勝つと宣言したも同然だ。
見ろ。さすがのガイアスも目を軽く瞠っているじゃないか。
謁見の間に落ちた沈黙は、先ほどまではガイアスが支配するそれだったのに、今は主導権はクレインにあった。
「もう一つお伺いしたいことがあります。リーベリー岩坑にあったという増霊極研究所のことです」
「あの場所に親を亡くした子供を集め、実験に利用していたというのは真実か!?」
ここぞとばかりに参戦する辺り、イバルも大分エリーゼにほだされてきている。
「その件は私に一任されている」
ウィンガルが抑揚のない声で告げた。
「あの研究所に集められた子供たちは生きる術を失った者たちだった。お前たちが想像するようなことはない。実験において非道な行いはしていない」
「だ、だけど、わたしは! わけも分からないままイスラさんに研究所に売られて! 研究所を出てからも、ハ・ミルでずっとひとりぼっちでした!」
よく言い切った、エリーゼ。頭を撫でて、抱き寄せてやる。
このガイアスのテリトリーで、自分の意見を言うだけでも凄まじいプレッシャーだったろう。本当によく言ったな。
「――それだけか」
「え…」
「聞く限りでは食うにも寝るにも困ってはいないようだが。それで我らが非道を行ったと訴えるのか?」
「あ…」
クレインが前に出た。
「一度研究所で匿っておきながら国の都合で放り出す。それがエリーゼの幸せを奪ったとは考えないのですか」
「幸せ、か」
すく。ガイアスが玉座を立って一歩前に出た。
「お前は民の幸せとは何なのか考えたことがあるか? 人の生涯の幸せだ。何をもって幸せか答えられるか?」
っと、これはまた。ガイアス、ひょっとして意外とセンチメンタルなタイプだったのか?
問いを投げかけられた当のクレインは、軽く考えてから、まっすぐ顔を上げた。
「自身が幸福だと信じる人生を歩み、全うすることです」
そう来るか。確かに大多数の人間をカバーできる。
理非も善悪もなく、自分の中で定義した「幸せ
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