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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第二十一話 謁見、二つの王道
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裾を持ち上げて一礼した。

「フェイリオ=マクスウェルです。お会いできて嬉しく思います、人間界の王のお一方。ア・ジュールの民より先にお目通り叶うよう計らってくださって、ありがとうございます」

 上手くやれたか。合間を見てはローエン指導で礼儀作法を叩き込んだのが功を奏した。

「お前たちは陛下に謁見を申し出たそうだが、話を聞かせてもらおうか?」

 ガイアスの左に控えていたウィンガルがようやく言葉を発した。

「まさか、ア・ジュールの黒き片翼……〈革命のウィンガル〉?」
「お会いできて光栄だ。イルベルト元参謀総長」

 稀なる智将同士、通じるものがあるのかもしれない。クレインに呼ばれるまでローエンは、それにウィンガルも、交えた視線を外さなかった。

「謁見を願ったのは私です。ラ・シュガル革命軍の将、クレイン・K・シャールと申します。お目にかかれて光栄です、ア・ジュール王ガイアス陛下」
「革命軍、か。ラ・シュガルは内乱中との報が入っていたが、貴様が反抗勢力をまとめる者か」
「左様です。我がカラハ・シャール、ひいてはラ・シュガル国土を蹂躙せんとする暴君ナハティガルを討つべく旗を挙げました」

 こうして並べて見ると、実に対照的な二人だ。巌と薫風。炎と流水。

 あのガイアスを前にしてクレインは全く気圧されていない。ガイアスも我々に向ける平坦なまなざしとは異なるそれでクレインを見下ろしている。

「その革命軍の将が、マクスウェルの名を使ってまで俺に面会を求めたからには、相応の理由があるのだろうな」
「無論です。――ナハティガル王の下にジランドという参謀副長がおります。ジランドはア・ジュールの増霊極(ブースター)を利用し、大精霊を人工的に造る計画を進めています」
「精霊を造る、だと?」

 よし。ウィンガルが食いついた。

「詳細は我々も裏を取っておりませんのでこの場では申し控えさせて頂きますが、精度だけなら本物の大精霊と遜色ない威力を発揮する兵器です」

 ――源霊匣(オリジン)。本来ならジュードが開発して普及させ、エレンピオスを荒廃から救うはずのモノ。

「これを以て我が領土を含む国土、ひいてはこのア・ジュールに攻撃の手を向けることも計画の内。さすれば多くの民に甚大な被害が出るでしょう。私はこの事実を幸いにも知りえた者として、ガイアス王、あなたに進言に参りました」
「……貴様は我が国に何を望む。まさか親切にもその件を奏上するために、国境を越えてきたわけではあるまい」
「――挟撃を」

 ローエンが前に出た。

「ラ・シュガル現政権とア・ジュールの戦争を。宣戦布告だけで構いません。王都の手勢をア・ジュール国軍の名を以て空にしていただきたいのです」

 ガイアスは黙り込んだ。ウィン
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