暁 〜小説投稿サイト〜
転生とらぶる
マブラヴ
0831話
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
声とでも表現すべき声。
 シャドウミラーの機体がバリアの類を装備しているのは、演習前にはっきりと見せているんだがな。
 違いと言えば、サラマンダーはEフィールドなのに対し、シャドウはG・テリトリーだということか。
 ともあれ、混乱した声を発している指揮車だが、その周囲では何とか無事だった残り数機の戦術機へとG・テリトリーを展開しながらシャドウが進み出る。
 1歩1歩歩くのでは無く、テスラ・ドライブを起動させて軽やかに舞い上がって空を飛ぶ。
 その機動性と運動性は、指揮車の男が告げた装甲重視の機体と言われたのを覆すかのような素早い動きだ。
 F-15CやF-18と比べても圧倒的な速度で近づき、運動性や機動力を高めたが故に脆くなった戦術機の機体を壊さないようにそっと掴む。
 それでもいつ壊れてもおかしくない程に機体は軋む音を周囲に響かせており、もし普通のパイロットがシャドウを操縦していたら、恐らくは戦術機の手足がポキリと折れていたのは間違いないだろう。
 こうして全機が動きを押さえつけられて身動きが出来なくなったのを横目に、俺は戦場の中へと足を進める。
 幾ら既に戦術機全機が取り押さえられているとは言っても、普通の人間であれば正気だとは思えないような行動。
 だが、それは物理攻撃を無効化する混沌精霊の俺には当て嵌まらない。
 そのまま指揮車へと向かって歩き続け、やがて向こうでも近づいてきている俺に気が付いたのだろう。再び指揮車から笑い声が響く渡る。

『くけっ、くけけけけけけっ、驕ったな。組織の長が生身で戦場に出てくるとは! 確かにこの戦いはこちらの負けだろう。だが、それもお前をここで倒せば帳消しだ!』

 その言葉と共に、指揮車に備え付けられている重機関砲の砲口がこちらへと向けられ……次の瞬間、耳をつんざくような音と共に無数の弾丸が俺に浴びせられる。
 それを特に何か行動を起こさないままに受け止める俺。
 向こうにしてみれば、恐らくは千載一遇のチャンスと感じたのだろうが……放たれた弾丸は、その全てが俺の身体を貫いていく。

『ひっ、ひひひひひ……ひ?』

 その様子を見て、笑い声を上げようとしたのだろうが、砕かれた俺の身体が白炎と化して元に戻ったのに気が付いたのだろう。訝しげに笑いを止める。

「残念だったな。俺に物理攻撃は無意味だよ」

 笑みを浮かべてそう告げながら、俺の姿は既に指揮車の前にあった。

『ばっ、馬鹿な!? 貴様、一体何をした!』
「さてな。残念ながら敵にそれを教えてやる程に俺は親切心を持っている訳じゃないんでな」

 呟き、パチンッと指を鳴らすと俺の影から影槍が飛び出て指揮車を切り刻む。
 一瞬にして数百もの部品に姿を変えた指揮車は、それでも内部にいた5人程の人員は無傷のままだ。
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ