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魔法科高校の神童生
Episode33:負けられぬ戦い
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計四本の氷柱が抉られた。

予測を遥かに超える魔法に観客が驚き沸き立つ。そしてその驚愕は、魔法に精通する者程大きかった。

空中に現れた無数の炎の弾丸。あれは自然現象での再現はほぼ不可能だ。
炎は火種がないと燃えることはできない。しかし隼人の放った炎弾は火種がなく、炎自体が弾丸として質量を持っていた。古式魔法である、精霊魔法ならば炎弾を作り出し射出することも可能だろうが、勿論、隼人は友人である幹比古のように精霊魔法を扱うことはできない。

世界の法則を超越した力。そう結論付けられたのは一体この場に何人いただろうか。
ただ少なくとも、魔王に相対した王子に、それは理解できなかった。

(なんだ今のは!? 炎の弾丸? 冗談にも程があるぞ…!)

事前に予定していた作戦が早くも瓦解してしまったことよりも、将輝は今の炎弾に気を取られていた。思考に乱れが生じ、隼人の陣地を襲っていた猛攻の一切が止まる。
それを好機と見てか、隼人はファランクスと情報強化を解除し、全ての思考・技術・能力を攻撃へと向けた。

(クソっ、耐え切れるか!?)

一斉攻撃を読んだ将輝は急ぎ全ての氷柱にありったけの情報強化を施し備える。

「…行、けぇ!」

十六の並列思考、一機の汎用型CADから放たれた魔法の数は六つ。
振動が、炎の渦が、氷の弾丸が、空気の圧縮炸裂が、無色の防壁が、轟く雷撃が、その総てが将輝の氷柱全てを飲み込んだ。

その光景は正に地獄そのもの。その余りの高威力に、自陣前列の氷柱をも融解させながら、隼人は焼き切れそうになった思考を無理やり引き止めていた。

さあ、どうだ血塗れの王子よ。圧倒的魔法力で敵陣を蹂躙する、これが魔王の戦い方だ。
ああしかし、これで終わってしまっては面白くない。こっちは久々に力一杯魔法を使えるのだ。なによりまだ、こちらは切り札を切ってはいない。

「まだだァ!」

巻き起こる煙の向こう側。煌めく朱色の魔法式。普段は使わない十六もの並列思考を駆使し消耗している隼人の前で、彼の自陣中列の氷全てが順に内部から爆散した。

思わず口角が吊り上がる。
流石はクリムゾン・プリンス。あの猛攻を凌ぎ切り、更に自分の切り札を使えるように微弱な振動を氷柱に与え続けていたとは思わなかった。

隼人の中列の氷柱を軒並み崩した魔法は一条家が得意とする発散系の系統魔法『爆裂』だ。
内部にある液体を瞬時に気化させる事によりその外側を爆散させる魔法で、人間に使えば血液が気化して人体を破裂させる殺傷性ランク『A』に相当する実戦用魔法。

将輝は新ソビエト連邦に
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