Episode33:負けられぬ戦い
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そんなやり取りが観客席で行われていることを露ほども知らない隼人だが、何故か最大級の胃痛を感じて思わず蹲る。しかしそこは気合の見せ所、既に何発目か分からない腹パンを叩き込んで胃痛の沈静化を図る。
胃痛ごときでへばっている場合ではない。この試合は、なんとしてでも負ける訳にはいかないのだ。
雫に勝つと言った。君の魔法は無力じゃないと証明すると言った。
その証明の為に、これ程に御誂え向きのステージがあるだろうか。
観客席は満員御礼、VIP観覧席には世界最高最巧と謳われる老師の姿。そして敵は十師族の跡取り、それも『血塗れの王子』の異名を冠する期待のホープだ。
ああ最高ではないか。だから静まれ俺の胃よ。我が闘志に水を差すでない。
さあ、俺の名が呼ばれるぞ。ここから先は九十九隼人ではなく魔王のステージだ。せめてこれまで倒してきた相手よりも激しく攻め立ててやろうではないか。
九十九隼人の名が呼ばれ、彼が深々と一礼する様子を将輝は注視していた。
隼人とは違い、将輝は先程の二高の選手との試合があったためこれで連戦ということなるが、二高選手戦を最短手段で負かしたために疲れの色はない。それ以上に、ラスボスと戦う前のいい準備運動になった程度としか認識していなかったのだ。哀れではあるが、隼人と将輝と比べればそれ程の実力差は当然であった。
それにしても、と将輝は再び隼人を見る。
先程セルフ腹パンしていた奴だとは考えられない程の闘志。恐らく彼にも自分同様に負けられない理由があるのだろう。
だが自分の思いはそれ以上だ。三高の為、十師族としての立場の為。そして何より、一人の魔法師として負けたくないと思った。
敵は魔王。これまでの試合の全てを完封で勝ち進んで来ている正真正銘の強敵だ。
ああ、だからこそ負けられない。負けたくない。背負えるモノは背負ったんだ。その重荷ごと、次は魔王を超えてみせよう。
血塗れの王子の名を、奴に刻み込んでやろう。
互いに負けられない思いを背負って、二人は魔の法を解き放つ。
片や一人の少女が無力ではなかったと証明する為に、片や自校の期待に応える為に。思いの大きさに違いはあれど、それを叶えんとする意志になんら差はない。
これより始まるは大会史上最高にして最巧の魔法合戦。
互いの得物を構える。空気は既に振動を始め、観客は二人の迫力に呑まれている。息が詰まりそうな時間が流れ
そして試合開始の合図が鳴った。
☆★☆★
開戦の合図と同時、張り詰めていた空気を切り裂くかのように
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