暁 〜小説投稿サイト〜
横浜事変-the mixing black&white-
殺し屋の日常はありふれていて、人間臭いものである(後)
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で人々の中に君臨する女王のような態度だ。

 「こんなとこであいつに会っちゃうとか……正直めんどいなぁ」

 独り言のように遠い目をして呟く法城。ケンジの隣で大河内が珍しく「はあ……」と溜息を吐いている。ケンジは喧騒の中を歩く彼女をもう一度視認し、その正体に気付く。

 「……あの人って」

 全てを悟った瞬間、ケンジはゾワりと全身に鳥肌が立ったのを直に感じた。忘れられる筈がない。見た目はモデル並みの美女なのに、口を開けば暴言ばかり乱射してくる個性ありまくりな先輩を。

 ――でも僕、あの人の名前知らないんだよなあ。

 だが自分と同じ反応をしているのを見るに、法城と大河内は彼女の素性を知っているようだ。ケンジはまだこちらに気付いていない少女から目を離さぬまま、大河内に問い掛けた。

 「あの人、知り合いですか?」

 「ああ……多分なんかの間違いだと……」

 大河内は先程と大違いの細々とした口調で話すが、その途中で前方を歩いていた少女がこちらに気付いて手を振ってくる。

 「あっれえええ?法城とオーコーチじゃん!そんな薄暗い所で何やってんの?もしかして一線越えた?」

 「……大河内、アイツ殺さね?」

 ボソッと呟く法城からは普段の明るい態度がごっそり削げ落ちており、完全に殺し屋の目をしていた。そんな彼にもゾクッとしながらも、ケンジは一歩ずつこちらに近付いてくる少女から目を離せずにいた。魅了されたわけではない。逃げ出したくても、何かがその行動を拒んでいるのだ。その間にも少女はこちらに近付いていき――

 「あれ、そこにいるの誰?……ん?」

 可愛らしく首を傾げる少女――玉木鈴奈に、法城が仕方なくといった顔で言った。

 「暁ケンジ。俺らの仲間だよ」

 「ふうん。ねえ、アンタどっかで……あ」

 ケンジと顔を合わせてから少し曖昧だった鈴奈の顔つきが、何かを思い出したようになり、次に怒りを帯びた。そして口から例の『アレ』が発射される事になる。

 「アンタ、昨日あたしにぶつかってきた奴じゃん!謝りもしないで逃げ出して、よくあたしの前に顔出せたわね?ていうか殺し屋なの?ハッ、笑わせんじゃないってのしょうゆ顔!そんな細い腕とクソ(づら)で人を殺せるわけないでしょうがバカにしてんじゃないわよモヤシヤロー!」

 「あ、どうも……」

 「どうもって、それだけ!?あのときあたしの貴重な2分ぐらいを破綻させたクセして生意気な奴ね!普通は土下座するとか金払うとか殺し合いするとか手段はいっぱいあるでしょうがクズ!いっぺん死ね!アンタにはトイレの便座がお似合いだっての!」

 「あれ、ケンG知り合い?」

 「名前知らないですけど、この人学校の先輩なんです……」

 「この
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