暁 〜小説投稿サイト〜
三つのプレゼントの恋
4部分:第四章
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初
ちに倒してしまったのであった。
「どう?」
「いや、これは」
 エンディングの画面を下に話をする。
「凄いなんてものじゃないよ」
 賛辞の言葉が進化していた。
「ここまでやるなんてさ」
「ふふふ」
 そう言われて悪い気はしていないようである。にこりと笑っていた。
「もう一ゲームどう?」
「いや、僕はいいよ」
 何かさらに負けそうなのでそれは断った。これ以上負けたら何か嫌な気分になりそうだったからである。負けて気持ちのいい格闘ゲーマーはそうそういない。
「じゃあ行く?」
「うん、UFOキャッチャーだね」
 信吾はそれに応えた。
「二階にあるよ」
「わかったわ。じゃあ行きましょう」
「そうだね。よかったらさ」
「何?」
「僕が一個プレゼントしてあげるよ、ぬいぐるみでも」
「いいわよ、そんなの」
 だが美智子はその申し出は笑って拒んできた。
「全部自分で取るから」
「そうなの」
「そうよ。見てて」
 自信たっぷりに言っている。
「十個でも二十個でも取るから」
 腕に拳を作って高らかに宣言する。そしてそれで戦場に向かうのであった。
 UFOキャッチャーにコインを入れていざ開戦である。信吾も同じくコインを入れた。そしてぬいぐるみを狙ってハンドを動かしはじめた。こちらは好調であった。
 だがそれに対する美智子の方はと言えば。どうにも調子がおかしいようである。
「あれっ!?」
 ポロリと兎のぬいぐるみを落とす。
「あれ!?」
 今度は熊のぬいぐるみを。どうにも調子がおかしいようである。
「おかしいな。何でだろ」
 全く手に入れられていないのである。それでかなり焦っているようである。
「どうしたんだろ、普段はこんなことないのに」
 そう言って口を尖らせている。
「また。あれぇ!?」
 また落としている。それがどうしてなのか彼女自身にもわかってはいないようである。
「また。何でだろ」
「どうかしたの?」
「うん、ちょっとね」
 信吾に苦い顔で応える。
「ちょっと調子が悪くて」
「そうなんだ」
「まあ大したことはないわよ。けれどね」
 前を向いたまま苦笑いを浮かべていた。
「何か。参っちゃったな」
「運が悪いのかな」
「そうね。こういうこともあるわね」
 自分でもそれを認めていた。嫌々ではあるが。
「けれど」
 その証拠に苦い顔をはっきりと見せてきた。
「これはちょっとねえ」
「やっぱり駄目なの?」
「うん、絶不調かしらね」
 その苦い顔のまま言う。
「今日はちょっと」
 言っている側から落としてしまう。どうにもならないようであった。
「ついてないわ」
「ついてないの」
 信吾はそれに問う。
「ええ。とことんついてないわね」
「さっきの格闘ゲームは上手
[8]前話 [1] [9] 最後 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ