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横浜事変-the mixing black&white-
殺し屋の日常はありふれていて、人間臭いものである(前)
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除したり、お年寄りの荷物運びやったり、何故か市民マラソンに出たこともあるわねぇ。そういう表向きの仕事が大半だけど、中にはこの人達みたいな仕事もある」
『この人』というところで微笑みながら殺し屋一同を見渡す宇春。だが怖がっている様子はない。彼女もある程度裏側に浸っている人間なのだろう。ケンジはあまり追及しないように黙っていたのだが、彼女の口から詳細が吐き出された。
「警察の情報を奪えって言われたらクラッキングするし、ビルを燃やせって言われたら燃やす。あなた達みたいなことも、ね?」
つまり、人を殺せと言われたらそれに従う。指示された通りに命を軽々と消す。目の前の女性からそんな狂気じみた色は感じられないだけに、ケンジは身震いした。だが自分も彼女と似たような立ち位置だという事に気付くと、彼女の事も何となく納得出来てしまう。
――僕だって、見た目だけじゃただの高校生だしね。
「これが何でも屋ってところかしら。横浜には私以外いっぱいいるわよ?」
「そ、そうなんですか?」
「君も何でも屋になるといいわ。あ、学生じゃ突然の仕事に向かえないわねぇ」
宇春はそれだけ言うと食器を調理場へと戻しに行った。彼女がいなくなって束の間の空白が生まれるが、それを打ち破ったのは意外にも宮条だった。
「腹ごしらえもしたところだし、もう出ない?」
「そうっすね。どうします、ケンGに案内でもしてやります?」
法城が賛成し、一つの提案を口にする。てっきりご飯を食べたら帰るのだと思っていただけに、ケンジは慌てて携帯で時間を確認した。と、そこで一件メールが入っている事に気付く。送り主は母で、今日は早く帰ってこいという内容だった。
話が緻密に進む前にと、ケンジは三人の殺し屋に簡単な事情を説明した。すると彼らはあっさりと事情を飲み、料金を払って店を出る運びとなった。彼らとはここで別れるつもりだったが、どうやら行先が同じらしく、元来た道を一緒に歩く事になった。
「皆さんは普段何をされてるんですか?」
世間話がてら、ケンジが赤島に聞いてみる。すると彼は腕を組んで少し悩み、あっけらかんとした声で言った。
「遊んでる」
「え?」
「いや、殺し屋って基本専業でよ、午前中とか昼間はみんな暇なんだよ。そこの宮条とかいう納税者は除くけどな」
嫌味たらしく言葉を紡ぐ赤島に対し、名前を出された長身の女性は無表情を固めて嫌味を返す。
「社会不適合予備軍の一人には言われたくないわね」
「俺働いてるし。つか、俺もお前も社会不適合以前の問題だと思うぜ」
人を殺すのを仕事と呼んでいいのだろうか。少なくともケンジ達が裁かれるに値する存在であるのは間違いなかった。
そ
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