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横浜事変-the mixing black&white-
殺し屋の日常はありふれていて、人間臭いものである(前)
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、赤島の順に頼まれた料理を、宇春が素早くメモ帳に書き取る。そしてケンジにウィンクしてから調理場へと戻って行った。
最後の最後まで気の抜けなかった展開に、疲れ果てたケンジは隣にいる法城に問い掛けた。
「ユーチュンさんって一体何者ですか?」
「何者って、ここの店員さんだよ。まあ、裏の顔もあるけど」
「裏の顔?もしかして……」
「ああ、殺し屋じゃないよ。『何でも屋』ってのをやってるんだ」
「何でも屋?」
「うん。許容範囲なら何でも引き受ける、副業みたいなもんかな。詳しくは彼女本人から聞きなよ」
「そうですね、そうします」
それから数十分後、頼んだ料理が到着した。ケンジは中華丼を頼んだ。本場の店まで来て定番なメニューもどうかと思ったが、価格的な話もあってこれが妥当だったのだ。
中国で使われているらしい
散蓮華
(
ちりれんげ
)
を使ってご飯と具をごそっと
掬
(
すく
)
う。綺麗なしょうゆ色をした八宝菜に白米が絡み合い、それらが絶妙な風味を作り出している。掬ったうちの半分を口に入れる。そしてその瞬間、ケンジは『これが本場か』と無意識に目を見開いた。
少し濃い醤油味を持ったとろみが肉野菜と白米を軽くカバーしているが、その中でも野菜たちは生きていた。適度なサイズに切られた肉はとても柔らかく、臭味はないのに自然と肉そのものの味を出していて美味しい。
木耳
(
きくらげ
)
の独特な噛み応えは健在で、中華丼という世界で盛り上げ役に走っていた。
気付くと中華丼は全て胃の中に収まっていた。量が決して少なかったわけではない。夢中になり過ぎた結果、あっという間にたいらげてしまったのだ。
「おいしかった……」
自然と笑みと言葉が漏れ出す。すでに食べ終わっていた赤島が爪楊枝で歯を掃除しながらニヤッと笑った。
「だろ?仕事ばっかりやってても面白くねえ。こういうところで気を抜かないとな」
やがて法城と宮条も食べ終わり、宇春が食器を片づけに来た。今は仕事中なので何でも屋については今度聞こうと決めていたケンジだが、当人から話を振ってきた。
「私に何か質問があるんじゃないのん?」
「ありますけど、お仕事が終わってからの方が良いかと思って……」
「真面目なのねぇ。私そういう人大好きよ」
身体を艶めかしくくねらせながら呟く宇春に思わず視線を逸らすケンジ。だが「あんまイジるなよ」と赤島に釘を刺され、宇春は軽い調子で謝る。そして自身の副業について食器を持ったまま話し始めた。周囲から見れば不思議な光景だろう。通路の邪魔にしかなっていない。
「何でも屋っていうのはねぇ、簡単に言えば何でもする人。あ、Hはやらないわよ?」
「わ、分かってます」
「家のお掃
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