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三つのプレゼントの恋
2部分:第二章
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幻想の世界のような絵ばかりなのである。
「だからそう言われるのよ」
「そうだったんだ」
「これはね。ルネ=マグリットの絵よ」
 二十世紀中頃のベルギーの画家である。このシュールリアリズムの大家である。
「ふうん」
「他にもダリとかいるけれどね。今日はそのマグリットの世界なのよ」
「何だか」
 その絵を見ながら述べる。
「凄いね。夢を見ているみたいだ」
「でしょう?だから好きなのよ」
 美智子はにこりと笑ってこう述べた。
「この人の絵が。高校の授業で習ってからね」
「そういうえば君美術やってたんだよね」
 美智子のその言葉で思い出した。
「高校の時は美術部だって」
「そうよ。最近描いてないけれどね」
 だがそれに対する返事は少し残念そうなものであった。
「どうして?」
「何かね」
 苦笑いを浮かべて答える。
「描きたいって思うものがなくて」
「そうなんだ」
「仕方ないわよね。描きたいものがないと」
 どうしようもないと言いたげであった。
「やっぱり」
「描きたいものがあればいいんだね」
「まあそれはね」
 顔を元に戻して答えてきた。
「そうだけれど」
「そうなんだ」
「何時かこんな絵が描きたいけれどね」
 マグリットの絵を見てまた述べる。
「今だと無理よね。そもそも描いてはいないんだし」
 そう言いながら苦笑いを浮かべた。浮かべるしかなかったと言うべきであろうか。美智子の諦めきれないような苦笑いが信吾の心に残っていた。
 絵を見終わってから美術館を出る。それから夕食を終えて二人で夜道を歩く。夕食は美術館の近くにあったレストランだ。そこで洒落たフランス料理とワインを楽しんだ。高そうだと思ったがそこは思ったよりずっと安くてラディカルな雰囲気の店で二人は軽い気持ちで食事を楽しむことができた。
 夜道を二人歩く。美術館の周りは奇麗に整えられていて何か歩いているだけで様になる場所であった。二人は今そこを歩いていたのである。
 また美術館の前に来た。信吾はそこでふと思い出した。
 そして美智子に声をかける。何かいきなりといった感じであった。
「ねえ」
「何?」
 美智子もそれを受けて彼に顔を向けてきた。二人は丁度美術館の門のところで立ち止まってしまった。
「あのさ」
「うん」
 話の切り出しはどうにもぎこちないものであった。信吾は自分でそれを失敗したと思った。だがもう止まることはできなかった。言い出したら最後までいくしかないのである。
「プレゼントだけれどね」
「ええ」
「実はさ、お店の人と考えてね」
 彼は言う。
「プレゼントこれにしたんだ」
 そう言うと懐から何かを取り出してきた。それは紫の箱であった。
「ほら、これ」
 その箱を開ける。するとそこからあのアメジスト
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