第96話 少年達は壁の高さを知るようです
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す。」
「その点、『闇の魔法』はまだまだだぞ。さっさと来い!」
「はぃいいい!」
そして―――
「2千、999……!さん、ぜんっ……!!ふーーっ。」
ズズンッ
朝の日課の最後、岩乗せ未強化腕立て伏せ3千回を終え、一息つく。
と、そこに珍しくテオドラさんが現れ、ポットを放って来た。
「そら、差し入れじゃ。まったく、毎日精が出るのう。」
「ありがとうございます。いえ、あの人達に勝つにはこれくらいは最低限かと。」
「左様か。まぁそのとおりじゃがな。」
そう言いつつ浜辺に座り、自分の横をポンポンと叩いて座るよう促してくる。
う、ううん。この人なんとなくノワールさんに近いから緊張するんだよね。
「修行の方はどうじゃ?」
「……どう、でしょうか?」
「ふふっ。メキメキ上達しておるよ。体術・魔法・『闇の魔法』全て、以前より
遥かに、主は自分のものとしておるよ。」
「そう、ですか……。」
テオドラさんの答えに、イマイチ喜び切れず答えてしまう。・・・僕自身も、それは
感じている。魔法の発動も早くなったし、消費魔力も若干減らせている。
『闇の魔法』も以前よりは侵食が少ないようにも思う。けど・・・・・。
「それでも前と同じく、決め手に欠ける……そういう顔じゃな?」
「っ、はい……。」
「ま、そちらは根を詰めても仕方ない事じゃ。体の力を抜いて休め。」
にぱっ、と活発そうな笑みでそう言われては否応なく体の力を抜かざるを得ない。
・・・代わりに、気になっていた事をテオドラさんにも聞いてみる。
「あの……エルザ姫って、僕の、お母さんなんでしょうか……?」
「……すまんな、妾も答えられんのじゃ。他の者に聞いても同じだったじゃろう?」
「はい、まぁ……。」
そう、皆にこの質問をぶつけたけれど、答えは決まって『本人に聞くか男と認めさせ
て見せろ』だった。"紅き翼"の皆で決めた事らしいんだけど・・・。
「もし、ラカンさんに勝てたら、一人前と認めてくれるでしょうか……?」
「どうじゃろうな?ま、しかし勝たねばならん理由が増えたようじゃな。」
話は終わり、と立ち上がったテオドラさんは、思い出したように腰のヒラヒラの
裏から何かを取り出し、また投げて寄越した。
受け取り見てみると・・・30センチくらいの普通の木の棒だった。
「わっとと……な、なんですか?これ。」
「そうじゃのう。勝利の鍵、切り札その一かの。」
・・・だから、なんなんですかこれ。と問う暇もなくテオドラさんは歩いて行って
しまった。多分、決勝で使うことになる
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