第96話 少年達は壁の高さを知るようです
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もう残っているのはあの人しかいない。
「まぁ、聞いちまったあたしもあたしだがな……おりは…もとい愁磨先生の強さな。
オッサンの見込みだと……。」
「「「見込み、だと?」」」
「……………分からん、とさ。」
「「へ?」」
その答えを聞いて小太郎君とカモ君は納得していないようだけど、僕は何となく
気づいていた。常に奥の手奥の手を残し、まるで未来を知っているかのように
策略を張り巡らせ、父さん達の力を借りたと言えどラカンさんに絶対に倒せないと
思わせた造物主を倒してしまったのだから。
・・・その戦いすらも僕は違和感を覚えていた。そう、まるで―――
「(造物主と、同等だと思わせる事に終始していた、様な・・・・。)」
「師弟のよしみで手加減……いや!袖の下で八百長だ!それしかねぇ!」
「優勝で100万なのに八百長は無理だろ。それに金で動くタイプじゃねぇ。」
いや、今の目的は愁磨さんに勝つ事じゃなく、あくまでラカンさん・ノワールさん・
アリアさんに勝つ事だ。そうなると、今の十倍以上の出力が欲しい事になる。
「……みんなついて来て。見せたいものがあるんだ。」
「ん?なんや?」
怪訝そうに見るみんなに認識阻害魔法をかけて、オスティア郊外の岩礁地帯まで
飛んで行く。修行ならダイオラマ球の中で良いんだけれど、あの中だと発動に
補助が入っちゃうから、今の実力が分からなくなってしまう。
「こないなとこまで来てなに見せるっちゅーんや?」
「うん、ちょっと大規模だから街だと軍とかに感知されちゃうからね。
……僕の新呪文だよ。」
「新呪文て、あの『闇の魔法』の合わせ技かいな?」
「半分正解。僕が今出せる最強の呪文だよ。あ、ちょっと離れててね。」
ブツリと親指を噛んで血を出して、強化と補助の為に魔方陣の核となる部分へ
飛ばして、魔方陣を発動させる。『雷の暴風』を覚えた時から練習はしていたけれ
ど、あの映画を見てからは完成させようと躍起になって修行した魔法。
ウォンッ!
「"ラス・テル・マ・スキル・マギステル! 契約に従い我に従え高殿の王 来たれ
巨神を滅ぼす燃ゆる立つ雷霆! 収縮補助魔方陣展開!第一から第二十まで展開・
固定!"」
ヴヴヴンッ
僕の周りに中型、腕の周りに小型の魔方陣がそれぞれ十ずつ展開される。
『全きこの身を剣と化し』と同じく収縮系の魔方陣だけれど、その数は十倍。
同じ戦術魔法で属性は一つだけだけど、範囲が広く固定化するのが難しいからだ。
「"百重千重と重なりて 走れよ稲妻!!『千の雷』!固定』…………!!"
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