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三つのプレゼントの恋
1部分:第一章
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いうことに疎い信吾にとってはどうにもわからない話であった。
「アメジストの本物ですよ」
「本物ですか」
「はい、お値段は」
 店員さんは値段も教えてくれた。それを聞いて信吾は納得したように頷いた。
「いけますね」
「はい、ギリギリです」
 彼は答えた。
「何とかいけます」
「それは何よりです」
「意外と安いんですね」
「サービス品なんですよ」
 店員さんはにこりと笑ってそう教えてくれた。
「それでこの値段なんです」
「そうだったんですか」
「はい、お買い得ですよ」
 すかさず買うように勧めてくる。この際の手際は見事である。
「どうでしょうか」
 店員さんはまた言う。言いながら信吾の目を覗いてきた。何処か恋に誘う感じのようであった。
「これで」
「ううん」
 だが信吾はそれを進められてもまだ決めかねていた。それでまた尋ねた。
「他にありますか」
「他にですか」
「ええ、何かあれば教えて下さい」
 彼は言った。
「何がありますか」
「そうですね。それじゃあ」
 また少し考えてから述べてきた。
「これなんかはどうでしょうか」
 今度勧めてきたのは銀色のイヤリングであった。
「今度は何ですか」
「銀のイヤリングです。真珠型の」
「銀ですか」
「はい。お値段はさっきのアメジストと同じ感じで」
「そうなんですか」
 何かそれを聞くとこれでもいいかな、とも思った。ふとここでイヤリングをしてみた彼女の姿を想像してみる。結構似合いそうである。
「成程」
 ここで少しだがそれでもいいかな、と思った。だがまだ考えてみようと思い直した。
「他にありますか」
「他にもですか」
「はい、あれば見せてもらいたいですけれど」
「そのお値段でしたら後は」
 もう一つ出してくれた。今度は指輪であった。淡い赤の指輪であった。
「インカローズです」
「インカローズ」
「はい。最近女性に人気なんですよ、これ」
 結構あからさまに勧めてきた。
「色が奇麗ですしね」
「はあ」
「プレゼントすると喜ばれますよ」
「そうですね」
 その三つを提示されてそのうえで考えはじめた。
「どうしようかな」
「お値段はどれも変わりませんので」
「はい」
 買えるのはどれか一つだ。だからこそ悩んでいる。彼はどうしようかと三つのアクセサリーを見て考えていた。
「よし」
 そして遂に決めた。彼が選んだのは。
「これ、買います」
「有り難うございます」
 店員さんは笑顔でお金を受けてそれを手渡した。さあ、彼が買ったアクセサリーは何か。そしてそれで恋はどう進んでいくのであろうか。


1.アメジストのネックレス→第二章へ
2.銀のイアリング    →第三章へ
3.インカローズの指輪  →第四章へ

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