第九話 プールイベントでトラブルが起きないわけがない
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加えて頂きたくないんですけど……」
なるべく穏便に。ここで問題を起こして仕舞えば元も子もない。殺ろうと思えば、殺れる。
だが、それではダメだ。それでは今までと同じだけだ。
「どいてろブス。こいつで遊んだらお前も相手にしてやるからよ。」
男が小鷹を退かそうとした時だ。
男が吹っ飛んだ。
「あ〜、やっぱりダメだ〜。殺したくなる。」
もちろん彼女の所為だ。力による暴力。
羽瀬川小鷹の持つ能力ではなく、単なる暴力。制御も何もできない、力による支配だ。
「あ、あががが…!」
「ねぇ、お兄さん?今から自発的にどっか行って惨めに逃げ帰るのと、力づくでどっかに逝かされるのどっちがいい?」
その目は、座っていた。男を人として見ていなかった。唯のゴミ。もしくはゴキブリ。そのくらいの認識だ。
「え、ら、べ?」
「ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃ??」
男は逃げ去る。
小鷹は、振り返り、星奈を見た。
「柏崎さん、大丈夫??」
「え、ええ。平気よ。」
その時の小鷹の目は、いつもの少し濁った程度の色合いに戻ってた。
「いや〜、今日は楽しかった〜。ありがとね、柏崎さん。」
「別に良いわよ。こっちこそ、その、ありがとう。」
時刻は5時近く。二人は帰りのバスに乗っていた。
「あんなの、どうってことないよ。それより、柏崎さんに怪我とかなくてよかったね。」
星奈は、それを言われ少し微笑む。
理解できた。どうして夜空が、羽瀬川小鷹にあそこまで必死になるか。
こんなにも優しい娘が、報われないのはおかしい。自分の事しか頭にない星奈でもそう思うくらいだ。
そんな事を考えていると、小鷹の降りるバス停についた。
「あ、それじゃ、また明日ね、柏…」
「星奈でいいわ。」
「え?」
「夜空があんたを名前で呼んで、私が呼ばないのもおかしな話でしょ?私も小鷹って呼ぶから、あんたも星奈って呼びなさい。」
小鷹は唖然とした。まさか、こんなに早く柏崎星奈が自分に心を許してくれるとは、思ってなかったのだ。
「あ、うん。それじゃぁ…」
少し手を挙げ、ゆっくり振る。
「また明日ね。星奈。」
「ええ。また明日。小鷹。」
バスの扉が閉まる。
この日、小鷹に初めて、同性の友達が出来た。
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