悪夢-ナイトメア-part1/狙われた姫
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と、すごく幸せな気分なの。空がどこまでも青く澄んでいるように鼻歌でも歌いたい気分だわ。サイト、私が許可するわ。この女を好きなだけ……あんたの好きにしていいわよ?」
茫然とするアンリエッタに、さらにルイズは容赦することなく、なんとも下劣なことを命じた。自分を愛してもいない男の好きにさせる…つまり性的な慰み者にすることさえも許すと言ってきたのだ。あのルイズが、こんなことを…!?すると、サイトが下卑た笑みを浮かべながらアンリエッタの服をデルフリンガーで切り裂いてしまった。もはやエロ犬なんかじゃない。ただの下種男の姿だった。
自分の身を纏うものを失い、アンリエッタは羞恥のあまり自分の裸体を覆い隠すが、サイトがいやらしく指先を揺らしながら、アンリエッタに迫ってくる。
「ち、近寄らないで!無礼者!!」
アンリエッタは叫んだ。その叫びの反動で、彼女はいつの間にか手に持っていた杖を振った。グジャ!!と生々しい音が響いた。そして彼女の顔にべったりと、何か鉄臭く感じるにおいが付く。
「あ…あ…あぁ……!!」
杖の先に組み込まれた水晶に、血がべっとりとついていた。前を見やると、無残な撲殺死体と化した、頭の砕かれてしまったサイトが血の池を作り出して倒れていた。彼だけじゃなかった。今のたったひと振りのせいか、後ろに控えていたルイズ・マザリーニ・マリアンヌもまた身を粉々に砕かれた姿でサイトの傍らに倒れていた。
年頃の少女には特にきつ過ぎるその光景は、アンリエッタの心を恐怖の黒で染め上げていく。
「い、いや…」
「いやあああああああああああああああ!!!」
アンリエッタは心が砕けてしまったように、甲高い悲鳴を上げた。頭の中のすべてが黒い絵の具で塗りたくられたように暗黒色に染めあがって行き、彼女は意識さえもブラックアウトさせた。
一方で、侵入者が現れたということで、現実世界のトリスタニア城は厳重な警戒態勢を敷かれていた。玉座・執務室・寝室・厨房・食堂・ホール・廊下・トイレ・大浴場…ありとあらゆる場所に兵たちが駆け込み、怪しいものがいないか徹底的に探って行った。が、しばらくの間それらを調べ上げていくも、怪しい人物の姿は見当たらなかった。自分たちの勘違いだっただろうか?いや、そんなはずがない。真夜中に誰も通るはずのない廊下に不自然に鏡の破片がいくつも散らばっていたのだ。看守が常に城の中を見回っていたため、内部の者とも考えにくい。間違いなくどこかに何者かが侵入した可能性がある。
万が一のことを考え、アニエスはアンリエッタの私室に向かっていき、彼女の部屋の扉をノックする。
「夜分に申し訳ありません、姫殿下。アニエス・シュヴァリエ・ド・ミランです」
無事の確認のために、部屋の中にいるアンリエッタに声をかけるアニエスだ
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