悪夢-ナイトメア-part1/狙われた姫
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を疑った。何を…何を言っているの?今、彼は何を言ったの?
…いや、そんなはずがない。きっと今のは幻聴だろう。彼が、あんな妄言を言うわけが…。
「自分の口から愛を誓っておきながら、僕に愛を誓ってくれと言ってきたくせに、ワルドに僕を殺させたんだ」
幻聴ではなかった。とてもウェールズの口から放たれたものとは、幻聴じゃないとわかっていても信じられなかった。同様を隠せないアンリエッタは、ふるふると首を横に振って否定する。
「そう、例えば…」
ウェールズの眼が、一瞬怪しく光った。瞬時に景色が変わった。アンリエッタは周囲を見渡す。
(これは…一体…!?)
そこは、どこかの…いや、アルビオンのニューカッスル城の、ルイズとワルドが挙式を上げたあの教会だった。
『これだけ言っても、だめだというのかい?僕のルイズ』
『いやよ!誰があなたなんかと結婚なんてするもんですか!』
『ワルド君!彼女から離れたまえ!さもなくば、我が魔法が君を貫くぞ!』
当時と同様、ルイズはワルドからの求婚を断っている様子だ。ただ、以前と違ってこの場にはルイズ・ワルド、そして神父というウェールズ…彼ら三人しかいない。頭数は少ないが、緊迫した空気が教会を支配していたのは、実際に起きたことと同じだった。ウェールズも、あの時と同様にルイズにしつこく結婚を迫って詰め寄ったところ、ウェールズがそれを差し止めていた。
『…仕方ない。一つ目の目的は諦めよう』
『目的…?』
ため息を漏らすワルド。そして彼の言葉からでた「目的」という単語に、ルイズが疑問を覚える。役者の人数が違うが、あの時と全く同じ状況だった。
『一つ目の目的はルイズ。君をこの旅で手に入れること。二つ目は、アンリエッタからの手紙…。そして三つ目は…』
『ワルド…あなたまさか…!!』
しかし更に異なる展開が、それも残酷な形で発生した。ワルドが杖に光を帯びさせると、まるでアンリエッタに見せつけるように、杖を腰から引き抜いた。
「…!ウェールズ様、危ない!」
アンリエッタが、次のワルドが取ろうとする行動が何なのか容易に想像した。彼女はとっさに杖を手に取ろうとしたが、それは叶わなかった。このときの彼女は杖を持っていなかったし、その上…今教会の中にいるウェールズに彼女の声は届いてなかった。反応が遅れてしまったウェールズは、ワルドの杖に胸を貫かれた。
『貴様…レコン…キスタ……!!』
そう言い残して、ウェールズは倒れた。胸にはワルドによって開けられた風穴が、血を吹き出しながら口をあけていた。
「こんなふうにね」
「あ…………あ…」
愛する人が刺殺される光景には、たとえ彼女でなくても平気でいられるはずもなく、教会内のルイズ同様、アンリエッタは絶望しながら膝をついた。だが、それだけに収まらなかった。更なる残酷な光景がアンリエッタ
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