マブラヴ
0830話
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
翌日、折角未知の世界に転移したというのに、ホワイトスター内の時間にして数分程度で戻ってきた俺は結局いつものようにレモン達と夜を過ごして朝食を食べていた。
「……そう言えば、昨日は向こうに輸出する兵器の話で終わったけど、食料に関しても輸出すればかなりの利益になるだろうな。ただ、兵器を俺達が独占する以上、食料に関しては他の世界に任せた方がいいだろうけど」
2cm程の厚さに切り分けられ、表面をカリッと焼き上げたハムステーキを味わいつつそう告げる。
するとママレードをトーストに塗っていたシェリルが首を傾げる。
「食料? 何でまた……ああ、そう言えばユーラシア大陸がBETAに奪われたんだっけ? その影響?」
既にマブラヴ世界についての資料は、シャドウミラーの全員へと送ってある。それを読んだからこそ、すぐにその答えが出てきたのだろう。
「他にも色々と理由はあるだろうが、やっぱりそれが一番大きい理由だろうな。で、その結果、味よりも量を重視した合成食料って食料が広く食われているんだが……」
基地で食べた合成食料の味を思いだし、思わず眉を顰める。
そんな俺の表情を見たスレイが、マリュー手作りのコーンポタージュを掬っていたスプーンを止め、興味深そうに口を開く。
「それ程に不味いのか?」
「ああ。正直、合成食を食べている者達が可哀相になる程だな。……まぁ、量を作らないとそもそも難民全員に行き渡らないから、どうしようもないんだが」
「……そこまで言われると、寧ろ食べてみたくなるな」
「なら食うか?」
スレイの言葉に、基地で出された合成食を保存しておいた容器を空間倉庫から取り出す。
中身はパンとスープ、牛肉のステーキにサラダといった内容だ。
どれも俺が口を付けてはいるが、今更そんなので遠慮する仲じゃないしな。
テーブルの上で容器の蓋を開けると、周囲へと漂う香り。
「匂いを嗅ぐ限りだと、アクセルが言う程に不味いとは思えないけど?」
そう告げ、パンを一口分千切って口に運ぶマリュー。
……だが、次の瞬間にはその表情が固まった。
いつもは慈母の如き笑みを浮かべているマリューだけに、その表情が固まった様子はかなりの違和感を与える。
「マ、マリュー?」
思わずと言った様子で様子を見ていたシェリルが声を掛けるが、次の瞬間には席を立ってキッチンの方へと向かう。
……まぁ、何をしているのかは分かるが、それは追求しない方がいいだろう。俺の平穏の為にも。
さすがにこの中で最も料理に関しては凄腕のマリューがああいう風になったということで、誰もがそれ以上合成食には手を出さない。
やがて戻ってきたマリューの顔に、どこか憔悴した色を見たのは決して俺の気のせいではないだろう。
にし
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ