賭け
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いる……それは、酸を浴び溶けたかのような傷である。
『成る程ナァ……アイツの剣は斬ってもいるが、それより強く溶かしてもイル―――即ち剣が煙へ変わってんじゃあネェ! 融解性の煙が凝固して剣になってたって訳カ!! そうなりゃ万力擬きの仕組みも分かルナ!』
「空気溶かして、接着してた」
『その通リ! 液体と言えど属性力に加えその勢いがすげえカラ、あんな威力を持ってたって訳ダ!』
彼の攻撃のカラクリは、単純に考えて分かる話ではないが、しかし分かってしまえば案外簡単なものであった。
サーストは一旦距離を取るため離れ、再度煙から作られた剣を構える。
「―――《LIQUEFY》!」
技名を言い終わるよりも早く、そして大気を溶かしより速く、空間をも貫かんばかりに突きだされる剣に対し……グラトニーはまたも突っ込んで行く。
避ける事前提だった為に直撃はしなかったが避け切れる一撃では無い。が、グラトニーは躊躇いなく右肩を掠らせて、その威力から猛回転し始めた。
『今だ相棒!!!』
「っ! らぁあああ!!」
ラースが叫んだのを合図に体を傾けて、グラトニーは右足に取り込んだ空気を爆発させて今出せる全速力を叩きだす。
その速度たるや初見時の“リクエファイ”に匹敵せんばかりで、サーストは剣を無散させても間に合わない事を悟った。
しかし……今接近したとしても、彼女が行えるのは空気を放出させて勢いを付けた左拳を叩き込む事だけ。
なのにグラトニーは左腕を下げたまま、開きっぱなしになっていた吸気口からすら何も出さず、ただただ懐へ突っ込んでくるのみ。
だが、あと数センチまで肉薄し、サーストが剣を右から振り上げようとした、正にその瞬間。
「“風砲……」
「何!?」
彼女が口にしたのは、二度も叩き付けて成果が余りない“風砲暴”。
意外な選択肢にサーストは驚愕し、僅かに開いた間隙を狙ってグラトニーが発動させた次の瞬間、更に驚愕すべき事が起こる。
「“暴”アアァァァァアアッ!!」
突貫してきた勢いと回転している勢い、そして左掌底を打ち込むべく突きだす速度が合わさった所為か、何と“風砲暴”をグラトニーの左腕が纏ったのだ。
『今ダ! 俺の力を上乗せするぜぇエッ!!』
同時にラースが自身の力を掛け合わせ、ただ破壊の嵐を纏っていただけだったのが、徐々に巨大な怪物の爪へと変化していく。
この瞬間まで使わず左腕へ溜めに溜めた暴風が一点に凝縮され、グラトニーの腕力を合わせて……サーストへと思いっきり叩き込まれた。
「ル、アアアァァァッ
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