賭け
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だけでは済まなかった筈だ。
だが、状況自体は最悪のまま、何一つ改善されていない。
『どうすんだ相棒……このままじゃあジリビンってやつダゼ。奴サン、こっちと闘うのも目的みてぇダシ、このまま逃がしてはくれねェゾ』
「……だよ、ね」
相手の闘気も殺気も未だ収まらず、その様相は渇きを癒すものを求めているかにも見える。例え背を向けて彼から逃げるとしても、容易に逃がしてはくれないだろう。
グラトニーは依然として放たれてくる刃を避けながら、声を落としてラースへ話し掛けた。
「……―――――だよ、賭けに出てみる」
「オイオイ、新しいの試しもせズカ……ダガ、それしかネェ! やってミロ!!」
「ん!!」
何かを決意したらしいグラトニーはヒット&ヒットだった先程から一転、真逆のウェイ&ウェイに切り替えて斬撃を尽く避け続ける。
右に左に脚力で地を爆ぜ飛ばさせ、空中では空気を利用し高速移動。避ける動作それ一点のみに集中し、徐々に徐々に、段々とサーストへ近づいてく。
そして一瞬動きが止まったかと思うと、グラトニーは無言で幾つもの“風刃松濤”を狙いを定めずにやたらめったら撃ち放った。
「ぐ……」
切り取られた地面をたたき落としながら、塞がれた視界の中でサーストは何をする気かと思考を巡らせる。
すると、風の弾丸と“風刃松濤”が再び放たれ、それと同時にグラトニーは勢いよく突貫してきた。
鋭角な軌道でそれら飛び道具を叩き落として、幾つか掠るのにも構わずグラトニーへ狙いを定めるも……彼女は突貫してきたのが嘘の様にまた一定の距離を保つべく離れている。
(嫌疑、疑問、問題……何を狙っている……?)
埒が明かないと見たか、煙を広範囲に放ちそこかしこから連続で刺突を開始する。回避に徹した物を仕留めるのはやはり難しいか、グラトニーは更に戦闘の中で会得したらしい体を這うように風を放出させる技で、次々と攻撃をやり過ごしていく。
隙を突いて接近するのを諦めたか、サーストは刃を伸ばして袈裟掛けに大きく振り降ろす。グラトニーはそれを―――――何と左腕で受け止め、傷がつくのも構わず突っ込んできた。
「っ!」
思いもよらぬ行動を取られて流石にサーストも驚く。
一方グラトニーの方は、痛みで顔を歪めるどころか、寧ろ笑っていた。何故笑っているのか……それは、剣の謎が解けたからである。
良く見ると、グラトニーの手には分かりずらいが透明な液体が掛かっているのが見える。それは何かに引っ張られ、背後へとすっ飛んで行った。
また、彼女の手は切り傷のほかにもう一つ傷を負って
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