賭け
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だ。
勿論の事ながらサーストが律儀に考える時間を与えてくれる訳も無く、接近すると同時に右腕の刃を横一閃、躱したグラトニーへすかさず左蹴りを喰らわせ、それを彼女の左腕で受け止められたと見るや刃を三つに増やして振り下ろす。
グラトニーは足元で空気を爆発させて体勢を崩させ、“風刃松濤”で攻撃しながら上昇。
後ろへ下がりながら軽く飛びあがって煙り方刃を生成し振り上げてくる攻撃に、グラトニーはもう一度高威力の“風砲暴”を放って攻撃と距離稼ぎをいっぺんに行った。
着地しても息を整える間もなく地面を力強く蹴って、横部からの空気射出でジグザグに移動する。それに対してサーストは、出鱈目に斬撃を幾つも繰り出して来た。
余裕でそれを避け何度でもとサーストへと近づいて行くグラトニー。しかし、突如ラースが叫ぶ。
『相棒飛ベ!! そのまま行クナ!』
「う、あっ!」
計画性の無い斬撃で気を引いている間に放ったか、後ろに存在していた煙から二本の刃がスライスせんとグラトニーへ襲いかかる。
体を捻って無理やり飛び、空気発射で更に回転を加えながら離れるでなく、逆に距離を詰める。待っていたかサーストの振り下ろして来た剣を、紙一重で避けてグラトニーは拳を構えた。
しかし、ジェット噴射により拳を叩きつけようとした寸前。
「ぐはっ!?」
『またかどうなってンダ!?』
再び襲ってきた左右からの衝撃に挟まれて、グラトニーの体は傾きあらぬ方向へすっ飛んで行ってしまう。
そこを狙っていたらしいサーストは剣の切っ先をグラトニーへ向け、三度剣の輪郭がぼやけ塵状に変って消え失せる。
刹那……ロケットの様に煙を後方へ噴出させながら、目視困難な速度で剣が伸びてきた。
「ぐぁああっ!?」
『相棒っ!!』
「真剣、剣技、技名……付けるとするなら《LIQUEFY》か」
余りのスピードにグラトニーは成すすべなく右肩を大きく抉られ、抜けても威力は死なず勢いよく吹き飛ばされる。
右肩から血を流し立ち上がるグラトニーへ向けサーストが放った言葉は……意外にも賛辞だった。
「中々だ……驚愕、驚き、予想外、頭を狙ったんだが外れたか」
「死にたくないし、だから外した」
『……ヒュウ……ヒヤッとしたぜ相棒、やるじゃねェカ』
一歩間違えれば本当に頭に穴が開いていたであろう事は、グラトニーを抉り貫くだけにとどまらず背後でいくつも穴の開けれら倒れる木々が物語っている。
グラトニーの判断が少しでも遅れ、彼女の防御力が後少しでも低かったら……どちらかが足りなくても、肩を抉られる
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