賭け
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ッ!!」
「ぐっ!?」
技量の差に怯んだ僅かな隙、それをついてサーストは左拳による攻撃を叩き込む。間一髪で左手が間に合うが、空に浮いていたグラトニーは簡単に吹き飛ばされていく。
右足からの空気放出で遠々飛んでいくのは免れたが、着地してもなお少しだけ後ろにずれさせられた。
『まだ少し手ぇ抜いてやガル……どんだけ強ぇってんダヨ、全盛期の俺に近づけルカ? アレハ』
「……そんなに強かったの、ラース」
『オウヨ、その力を貸してやれればいいんダガ……貸してやれても数秒で劣化でしかも一部、役に立つかは微妙ダゼ』
こんな時に嘘をつくメリットも無いので、実力の話と化す事が出来る力の度合いの話は、恐らくすべて真実。
だが、今この時だけは、グラトニーも嘘であってほしかったと願わざるを得ない。
望んでも叶わぬ願いを無駄に心に留める時間など無いと、グラトニーは足に力を込め駆け出そうとした……刹那、右側から痛烈な衝撃を受け、思いっきり弾き飛ばされる。
「……! ……!?」
水切りの如く地面をバウンドしながら、木々を薙ぎ倒し勢いに引きずられていく。視界の端にはサーストが映っており、つまり彼はほぼ一瞬で気配も無く真横に移動して、グラトニーを殴り飛ばした事になる。
防御も軽減も出来ず、左腕を地面へ叩きつけてグラトニーは無理矢理勢いを殺した。
「!? ふ、“風刃松濤”っ!!」
立ちあがろうとしておぞましい殺気を感じ、ブレイクダンスの要領で薄く鋭い風の刃を幾つも撃ち放つ。
何時振られたか勢い強く向ってくる剣にそれらはぶつかり、しかし一つだけ叩き落とせずに此方を立つべく迫りくる。
「ぬ、ぅうっ!!」
最後の一回転で蹴りを地面にぶつけて、グラトニーは思いっきり上空へ飛びあがり、攻撃をやり過ごすと間髪いれずに空気を噴射。サーストのいる方向へと猛スピードで突貫する。
ふと、辺りに舞う土ぼこりの中にそれらとは違う、ほのかに深緑色の粒子が混じる奇妙な煙がある事気が付き、左腕と右足からの同時噴出で起動を直角に変える。
「遅緩、鈍重、不活発―――今一つ足りない」
『来るぞ相棒!! 左ウデ構やガレ!!』
「う……っ!?」
サーストのぼやきが聞こえたと思った瞬間、煙から深緑に薄く光る刃が十数本単位で突き出てくる。一度では終わらず軌道を変えて何度か刺突は繰り返され、貫かれこそしなかったモノのグラトニーは避け切れずに幾つもの傷を負った。
負けるモノかと、グラトニーは傷が痛むのも不快な臭いがするのも構わず、地面を思いっきり蹴りだし今度こそサーストへ肉薄す
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