第四話〜契りの指輪〜
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ばれているのかと思った。
「めぐ?」
「、、、かもしれないわね。」
水銀燈は立ち上がった。
「どこに行くの水銀燈?」
「ねぇ?この家に鏡はない?できるだけ大きな。」
「鏡?」
鏡がどうしたんだろう。疑問に思ったがとにかく家にあるか記憶を巡らせる。
「確か、物置部屋に古い姿見があったような、、、。」
「そう、なら案内しなさい。」
「え?でも指輪が、」
「いいから連れて行きなさい!」
「は、はい!」
僕は水銀燈を物置部屋へと運んでいく。そこは基本出入りしないために、あまり綺麗な環境ではないが早くに亡くなった僕の父と母の様々な外国土産が置いてある。ジュン君もそういう部屋を持っているようだけれど。
「けほっ、何よここ、、、埃くさい、ちゃんと掃除しなさいよね?」
「ごめん、ごめん。あんまりここは触らないから。」
(2人がいた頃のままにしたいしね。)
「、、、まったく、ホント優男ね。」
「え?」
「いや、何でもないわ。それより、姿見はどこ?」
「ああ、これだよ。」
大きな布を被せてあるその姿見は、布を外すとかなりの埃を舞い上げた。二人で咳き込んだあと、水銀燈は鏡に手を添えた。
「いけそうね。」
そう言うと、鏡が急に水面のように揺れ始め、鏡の中の僕たちの姿も消えてその奥には虚空だけが映った。
いきなりの出来事に僕は驚きを隠せない。
「な、な??」
「さぁ、入るわよ。」
「入るって言っても、、、。」
鏡に入るということなのだろうが、そんな素直に従えるはずもなく。鏡の前で僕はどもっていた。
(ここに、、、入るのか?)
「めぐに会いに行くんでしょ?」
水銀燈は僕に念を押した。此処を進めばまためぐに会える。でも目の前には別の世界が広がっている。進みたいのに勇気が出ない。
「ったくもう、じれったいわね。早く行きなさいよ。ほらっ!」
「え?うわあああああ??」
水銀燈に背中を押され僕は鏡の中に吸い込まれた。後から水銀燈も続く。
その世界はただただ真っ白で、僕と水銀燈だけが形と色を成していた。二人共真っ逆さまに下へと急降下している。
「す、す、水銀燈??お、落ちてる!落ちてるよ!」
「うるさいわねぇ。ここは9秒前の白というところよ。貴方が望む世界にこの世界も色を変える。ほら、願いなさい。貴方の行きたい場所を。」
願い?僕の?、、、、、僕は、会いたい。彼女に。めぐに!
「僕は、僕はめぐに会いたい!めぐのところへ連れて行ってくれ!」
僕の叫びは白い世界を震わせ、揺らした。やがて揺れは大きな波となり、僕と水銀燈はその波にさらわれて、、、、。
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