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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
11話 世代の流転
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は非常に難しい。
 なのに、自分たちの懐に入れるための無駄な公共事業などには経済刺激だの何だの理由を取ってつけて国費を無駄遣いするのだから……時々、この国があんな下らない連中に滅ぼされる位なら自分の手で滅ぼしてやろうか―――そんな愚にも付かない憤りが過るのは仕方のないことだろう。

 民主主義は、国民全員が聖人君子であるという性善説よりも尚小奇麗な妄想の域の理想状態を前提としているため、前提が間違ったシステムが機能不全を起こすのは当然である。


「さて、それとですが篁中尉には後程通達が行くと思いますが……74式長刀はしばらくは保守生産が続けられますが、恐らく10年内にその生産は打ち切られるでしょう。」
「え……」

 専務の突然の言葉に唯依が現実を飲み込めていない声を発した。

「もともと、74式長刀はF−4Jの運用に際し開発されたものです。当然、その使用前提はF−4となる。
 第一世代機と第三世代機の機体特性が根底から異になり、第三世代機用の迫撃戦闘兵装が開発された以上、之から退役する機体に合わせて設計された兵装を運用し続ける意味は薄いでしょう。」
「そんな……」

 絶望に染まった唯依の表情、74式長刀は篁中佐が遺したものだ。
 それが運用されなくなるという事は彼女にとって遺品を処分されるに等しいのだろう――この表情、見ていて心が痛む。


「――寂しい気もしますが、之も時代の流れでしょう。どうかご理解をお願いします。」
「……はい」

 うつむき、下唇を噛み締めているのだろう―――どうにか絞り出した声で頷いた唯依。
 そんな彼女に何と声を掛けて良いのかよくわからないが……黙っている事だけはしてはいけないと思った。

「篁、時が移ろう中で様々な物が形を変えていく―――思想、風習、形態、様々な物がだ。」
「それは……解かっています…でも―――」

「だけど――俺は、その中でも変えてはいけない物もあると思う。本当に変えてはいけない物を守る為に、変えなければ成らないモノ……それが今回は長刀だった、という事だと思う。」
「守らなければならないモノ……?」

「受け継がれる意志だ。今回の新型近接刀だって篁中佐が74式長刀を開発したという実績が有ればこその実現だ。
 ―――俺たちは、彼が何のために戦術機に刀を持たせようとしたかを理解し、それを守る為に形を変えればいい。……芯を間違えない限り、それはきっと次を託された世代が担うべき義務なんだと思う。」
「―――そうですね。」

 己の言葉を自分なりに咀嚼し吟味し飲み込んだ唯依が静かに頷いた。

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