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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
11話 世代の流転
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―――自分には戦場を経験していない温室育ちの言葉にしか聞こえなかった。
彼は戦士である前に技術者だったのだ……自分は一部の固定兵装を除き、武御雷に格闘兵装は不要と言った。
何故ならば、武御雷はその高性能化に伴い内部構造は複雑でその素材と相成って、工業製品というよりは工芸品としての面が大きい。
それは整備性と生産性の悪化を招き、機体の稼働率を大きく落とすことになる。運用を国内に限定し、それ故に幾らかの不利には目を瞑るという設計思想では極限状態が常となる対BETA戦を戦い抜くのは難しい。
また、熟練の衛士を多数擁していた為、操縦性にも妥協が成され専用OSの開発が後回しにされたため、その操作性は劣悪で熟練の衛士以外は満足に動かせない出来だ――極限状態での咄嗟の反応が求められる密集格闘戦ではその操縦の難しさや構造の複雑さは命取りになる。
オートマッチックの拳銃がその信頼を得るまでに一体どれ程の年月を要したか、その信頼性を確保できるまでの余裕があるうちなら未だいい、しかしBETAは目前と迫っていたのだ。
―――この状況を打開するには、武御雷の様な機体ではなく、極度の消耗戦に耐え抜き尚且つ極限状態に於いて寧ろ衛士を補強する事の出来る……戦い続ける事の出来る機体だ。
断じて決戦用の局地戦兵器ではない。
「では専務、引き続き各企業や研究機関との調整を頼む。」
「ええ、分かりました。幸い、篁中尉が参加なさる例の計画のおかげと言いますか、技術者たちはやる気ですので後はどうやって上の連中を説得するかです。
金と人脈だけで役所についた人間には説明するだけで一苦労ですがね。」
肩を竦めるように云う千堂専務、戦術機開発の混迷期を経験した彼にとってもズブの算盤勘定だけが得意なお坊ちゃんどもの相手は慣れてはいても遣りたくはない仕事のなのだろう。
民主主義の構造的欠陥の一つ、それは数多の要素を複合的に判断せねばならない政治家がズブの素人であり、国政を機能させる官僚は自らが所属している省庁という閉じた環境内で如何にのし上がるかだけを考えそのためには平然と嘘をつくという事だ。
官僚は数字でしか物事を判断せず、詭弁を多用する為机上の空論が跋扈し、それが現実的か否かを判断し成否を決定する政治家はその知識不足から正否を判断つかず、結果として数字以外何も見えない官僚の仲良しごっこクラブの独裁政治となった結果、国が機能不全に陥り、利益関係の対立からその状態から抜け出せなくなり、やがて何らかの大問題へと至るのだ。
元々の知識もない上に、理解能力そのものが欠如している連中に専門分野を説明しても要領を得ず、的外れな判断をすることは非常に多い。
その癖、専門家の言葉は疑い金に汚いのだから必要不可欠な国家事業の予算とて獲得するの
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