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Act_2 《オレンジ》
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して同時に、彼は《ラフコフ》討伐の際に最も多数のプレイヤーを捕縛し、
ただ1人──"無害なプレイヤー"を殺害した者でもある

そんなこの男の力量を以ってすれば、真正面からPKたちと戦ったとしても、
決して劣ることはないだろう
だが──周りに居る者たちはそうはいかない
それは、他の誰よりも、男自身が理解している事だった

──報復の覚悟はしていたつもりだったが

己自身の考えの甘さに、男の顔が更に歪む

『笑う棺桶(ラフィン・コフィン)』の再動
もし、その目的が復讐だとするのならば、狙われるのは当然この男である
だが、彼には──自分を守る刃しか、ありはしない

だからこそ、彼は、葛藤する
大切な者たちが危険に晒される可能性があることだって、分かっている
もしかすれば、命の危機にさえ陥るかもしれない
それでも、彼の中にある譲れない"思い"が、その天秤を傾けさせるのだ

"約束"が、あるのだ

「考える時間が欲しい」

長い沈黙が、場を支配していた
重苦しい空気
ヒースクリフは、何も答えることはせず、ただジッと、両目を閉じて考えている

友人たちに危険が迫っている事は分かっている
だが、それでも──

「オレは、誰かの為に戦いたいわけじゃない」

それは、何も飾らぬ本心からの言葉だった
研ぎ澄まされた刃は、守る事や、奪う為にあるわけではない
ただ生きる為につけた力だ
このSAOと言う世界で"生きる"為に、そして"攻略"する為に得た力でしかない
それを、この男は貫き通そうとしている

ヒースクリフは、まっすぐに男の瞳を見つめる
残った青に染まった左目は、まっすぐにヒースクリフへと向けられていた

──本気の目だ

昔から、この目をした男は何を言っても聞かなかった事が、記憶に刻み込まれている
だが、そんな彼を──ヒースクリフは信用していた
そこに嘘は存在しないからだ

「分かった、その答えを待とう」

その一言に、申し訳なさそうに、そして少しだけ微笑みながら、男は頭を垂れた














昨日のヒースクリフとのやり取りから日を跨ぎ、男は行く当ても無く、
ふらふらと歩を進めていた

武器の手入れは必要ない
探索に必要な物資は十二分に溜め込んだ
今の階層では、これ以上の武器の強化も見込めない
かといって、74層の攻略に今日臨むつもりもありはしない

やる事が無さ過ぎるというのも、案外暇なものだと、男は思った

今居る場所は──第74層《カームデット》
古樹が立ち並ぶ《ラグー・ラビット》の出現する森のように広大なフィールド
そして、岩肌に添って作られた白の路からなる迷宮区が特徴的な、現在攻略中の階層だ

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