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機動6課副部隊長の憂鬱な日々(リメイク版)
第5話
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正直言って、怖いです。 鬼気迫るというか、感情を感じさせないというか、
 ターゲットを処理した後も顔色一つ変えないので、ちょっと異様ですよね。
 普段の班長って仕事には厳しい方ですけど、どちらかといえば温和な方だと
 思っているので、それと比較すると余計にそう思いますね。
 なんか別人っていう感じがします」

「ふむ、なるほどね・・・」

陸曹の言葉に対して何度か頷きながら、シンクレアは呟くようにそう言うと
腕組みをしてしばらく考え込んだ。
陸曹がまんじりともせずにシンクレアの方を見つめて待っているのに気付き
シンクレアは顔を上げて陸曹に向かって微笑みかけた。

「うん、俺も大体同感かな。確かに普段のゲオルグさんと戦場でのゲオルグさんって
 別人みたいに振る舞いが違うよね」

そこでシンクレアの表情が真剣なものに変化する。

「それもそのはずでね、ゲオルグさんは殺しなんかをやらなくちゃいけないときには
 どうも心のスイッチのようなものを切り替えてるみたいなんだよ。
 ほら、君も見たことあるだろ? 任務開始前のゲオルグさんがじっと目を閉じて
 瞑想でもしてるようなところ」

「あ、はい。 見たことありますね」

「で、その直後からゲオルグさんの目つきとか声色が別人みたいに変わるんだよ」

「確かに、言われてみれば・・・」

シンクレアの言葉に対して陸曹は納得顔で頷いた。
だがすぐに不思議そうな顔で首を傾げる。

「どうしたんだい?」

首をひねる陸曹にシンクレアが問いかけると、陸曹は顔を上げた。

「あ、いえ。 それと今日のことがどう関係するのか判らなくて」

「ああ、それを話してなかったか・・・ゴメンゴメン」

苦笑したシンクレアはそう言ってバツ悪げに頭をかいた。

「今日の午後にゲオルグさんが尋問班の手伝いに駆り出されただろ?
 そのときに結構エグイ手を使ったらしいんだよね、詳しいことは聞いてないけど。
 で、そういうことがあるとだいたいゲオルグさんが早帰りすることが多い。
 俺のこれまでの経験からするとね」

「はあ・・・。でも、なんで早く帰られるんでしょうか?」

未だ納得いっていない様子で陸曹が尋ねると、シンクレアも腕組みをして
うなり声を上げる。

「うーん。それは、ゲオルグさん本人に聞いてみないと正確なことはわからないけど
 俺の想像で話をするなら、今日みたいなときにもゲオルグさんは戦闘モードに
 心のスイッチを切り替えるんじゃないかな? ただ、急なことだからうまく
 日常モードに戻せなくて、それをリセットするために早く帰るんじゃないかな?」

「なるほど・・・。それで、僕が腕をつかんだ時にあそこまで激しく
 反応されたんですね」

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