第5話
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からなる工作班全員の労務管理、体調の把握、訓練・教育計画の立案と実行
などなど、いわゆる管理職としての業務が日常業務の大半を占める。
それに加えて情報部内外の他部署との折衝、予算管理などもゲオルグの職務である。
ゆえに出動のない日常からして彼自身は結構多忙である。
もっとも、補佐役のシンクレアに任せてしまっている部分もあるので
さほど帰宅時間が遅くなることはない。
とはいえ定時に帰宅できるような身分ではないが。
事務仕事を始めてから1時間ほどすると、定時勤務時間の終わりを告げる鐘が鳴る。
すると、普段はそんなものは意に介さず仕事を続けるゲオルグが端末を片付けて
鞄を手に取り立ち上がった。
「シンクレア。今日はこれで帰るから、あとよろしく」
「あ、はい。了解です。 お疲れ様です」
意外そうなそぶりを見せることもなくシンクレアはゲオルグを見送る。
他の班員たちも概ねシンクレアと似たような反応であったが、1人が慌てた様子で
ゲオルグの前に飛び出してくる。
「は、班長! ちょっと待ってください! この書類に目を通して
いただけませんか? 明日朝イチで提出しないといけないので・・・」
「悪い、今日は勘弁してくれ。 デスクに置いといてくれれば朝イチで見るよ」
ゲオルグは足を止めて苦笑を浮かべると、その陸曹の脇を抜けて行こうとする。
「そ、そんな! なんとか今お願いします!」
陸曹は慌てた様子でそう言うと、自分の横をすり抜けようとするゲオルグの
腕をつかんで引きとめた。
その瞬間、足を止めたゲオルグは彼の顔をギロリと睨みつけた。
「なんだ、この手は? 離せ」
低くどすの効いた声が部屋の中に広がり、あたりはしんと静まり返る。
ゲオルグの迫力に完全に気圧されてしまった陸曹は力なくゲオルグの腕から
手を離した。
「す、すいません・・・・・」
小さくなって頭を下げる陸曹に冷たい視線を送りながら、ゲオルグは右腕の
掴まれていた部分を左手で払うような仕草をする。
「明日の朝、お前が来るまでに見ておけば同じだろうが。それでいいな?」
「・・・はい、結構です。 すみませんでした」
縮こまるように背を丸めて再び頭を下げる陸曹を一瞥すると、ゲオルグは
大きく息を吐いてその表情を緩める。
「怒鳴って悪かったな。 お先に」
ゲオルグはうって変わって穏やかな口調でそう声を掛け、陸曹の肩を軽く叩いてから
足早に部屋を出て行った。
扉が閉まると同時に固まっていた時間が動きだしたかのように、件の陸曹を除く
班員たちはそれぞれの仕事に戻っていく。
そんな中、未だ肩を震わせて固まっている陸曹にシンクレアは歩み寄っていった。
「おーい、いつま
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