食欲と渇望
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なかった?」
『アア倒されちまっタナ。相手方が弱かったのもあルガ、珍しく後手に回ったもンダ』
場所は荒れ地。
個人の所有地では無いこの場所に、今グラトニーとなった瀧馬はいた。
しかし、戦う事無く戦闘は終わってしまった様で、木々の少ない森の中に岩を椅子にして座っている。
当然の事ながらツインテイルズも成長しているので、相手の弱さと合わせてすぐに倒されてしまったのだ。
だからだろうか、表情は硬い。
敵が大したことないのはグラトニーにとっては前々からの事なので気にはしていなかったが、これからもそこまで強くも無いのばかり出て来られると、食事が出来ず衰弱する恐れがある。
それを危惧しているのだろうか、それとも食べられなかったのが納得いかないのかは分からないが、グラトニーはブーたれている。
「食べたかった、食べたかった、食べたかった」
『何度も言うんじゃあねェヨ。俺だって栄養欲しかったんダゼ? まあアレダ、最初っからちゃんと食い続けられてたんだカラ、箸休めみたいな感覚で見送ろうとしよウヤ』
「箸休めは日本料理で主となる料理の間に出される小品の事……つまり食べる事」
『へぇそうなノカ。やっぱ元が元だからか雰囲気変わっても雑学持ってるヤネ』
「関係無い……むぅ」
どれだけ文句を言っても状況は変わる事が無いくらい、グラトニーとて重々承知している。それでも、やっぱり食欲を満たしたいという感情……欲望が強いのだ。
性格や思考が幼くなっている事も合わせ、寧ろ文句を言わない方が珍しいかもしれない。
「……」
『オイオイ、間違っても木とか食べんナヨ。属性力の“ぞ”の字も無ぇんだかラヨ』
「……じゅるっ」
『いやマジで喰うナヨ!? 不味いぞ本気で悶えルゾ!?』
「……むぅ」
男の瀧馬である時は慣れてきたのか食欲も初期よりは抑え目になってきているが、グラトニーの時は逆に時を重ねるにつれ、段々と名前通りの“大食い”……を通り越して“暴食”に近くなってきてしまっている。
食欲属性も空想の産物では無く、もしかするとあんがい存在するのではなかろうか……その内本物の獣にならないか心配だ。
『兎にも角にも敵はツインテイルズが倒しちまったンダ、俺も察知やワープ能力を鍛えるかラヨ、今日の所は引き上げよウヤ』
「……うう、食べ物……」
『ハイハイ、また今度ナ。じゃあここは場所的に人何か来ないだろウガ、念の為を考えてワープするゼェ』
最近ではグラトニーにも少ないがファンが付き始め、いまだに議論はされるが普通に人気が出てきている。
また、世間でも人気か恐怖
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