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或る短かな後日談
後日談の幕開け
二 悪意
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れて。

「私達を作った誰かは。相当、悪趣味で。性格も悪くて。倫理や道徳観にも欠けていて、人の苦しむ様を見て笑うような、そんな酷い人みたいね」
「……まだ、私達を作った人が嗾けたかは……」

 忌々しげに顔を歪めた彼女。初め見たときは、落ち着いていて、大人びた……私に銃を向けたのも、味方であれば寧ろ、心強いと言えるのだろうと。恐怖に負けず、私へと振り上げられたあの手を撃ち抜き、冷静に。一緒に戦ってくれた。彼女は。その、私たちを纏めてくれる冷静さを持つ割に。怒りを溜め込みやすい性質(たち)のようで。

「……この建物。私たちが調べた部屋は全部もぬけの殻でしょう。使われていないのは明らかで……もしかすると、アレごと捨てて何処かに移転したのかもね。その辺りは、知りようがないけれど」

 問題は、あの怪物が、どういう理由で彼処に居たのかではなく。何故、あの怪物に襲われるような場所に、私たちを配置したのか。彼女の言葉、苛立ちを隠そうとさえせず。それは、私たちを態々危険に晒した誰かへと向けた。

「これから、私は上の階へと行ってみるつもり。私たちを作った誰か……こんな目に合わせた誰かに、恨み言一つ言ってあげたいし」
「……私も、何時までも此処に留まりたくはない。けれど」

 アリスに目をやる。目を、やれば。ゆっくりと瞼を開き。目を覚まし、ぼんやりと宙を見上げる彼女。私の目線を追い、気付いたソロリティも、また。目を覚ました彼女の瞳、覗き込むように身を屈めて。

「おはよう。大丈夫かしら?」
「あ……おは、よう……あっ!」

 目を開き。飛び起きた彼女、ソロリティは身を引き。ぶつかりそうになったことに構いもせず、焦るように、不安げに。辺りを見渡し、私の目。私の視線と、視線を重ね。私の姿を、確認すると、今度は。振り向き、彼女を見。
 心底。安堵した、と、言った様子で。

「……二人、とも、大丈夫、だった……?」

 声は。段々、小さく。先の出来事、放った力。彼女の力は余りにも強大で。そのことを思い出したのか、口篭り。安堵も束の間、また、不安げに。私たちの顔色を窺うように、言う、彼女へ。

「二人とも平気よ。大きな怪我もしてない。……あなたのお陰よ。ありがとう」

 ソロリティは。笑みを浮かべて。その、言葉を聞き。彼女はまた、安堵。小さな笑みを零し。私へもまたその笑みを向けた彼女を見て。私も、自然、頬が綻び。私の笑みを見た彼女は、また。一層。
 あの、惨劇、異形と戦い、危険に晒され。今だって、これからどうするべきか分からず。何時また危険が迫るかも知れず。それでも、彼女のこの笑みは。私たちの心を解し。気が狂いそうなこの状況の中でも、狂気を遠ざけてくれる。

「……でも、あれ、なんだったんだろう……」

 笑みのあ
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