8話
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何故気付かなかったのだろうと思う。……四季がサーゼクスを嫌う理由が詩乃を無理矢理眷属にしようとした上級悪魔に有ると言うのに、
(何でオレはあの時、あいつ等の言葉に従った?)
そもそも、会長なら兎も角サーゼクスの妹相手ならば幾らでも敵対して良かった筈だ。……それだけの理由があるのだから。
(何でオレは……詩乃を態々連れて行った?)
木場が何と言おうが無理矢理にでも己の意思を押し通せばよかった。あの場で叩き潰した所で学校での四季の評価からすれば大差ないはずだ。……木場程度の相手ならば、神器モードを使わないでも敵ですらないはずだ。
そもそも、最初から四季達アウトレイジ側の人間だと会長を通じて悪魔側に対して言っておくのを優先するべきだった。
(サーゼクス……直接何かされた訳じゃ無いが、何処までもお前とオレは敵対しなきゃならない運命に有るみたいだな)
態々こっちから歩み寄ってやる理由は無い。売られた喧嘩なんて此方から歩み寄ったら舐められるだけだ。
「……四……季……」
「詩乃。大丈夫、オレは此処に居るから」
自分だけじゃない、此処にはキング達も居る。上級悪魔どころか神や魔王……場合によっては無限と夢幻が来ても十分に撃退できるだけの戦力が此処にはいる。
「……怖い……。……でも……なんで……?」
「(QED……)分からない」
記憶自体をQEDが忘れさせていたのだろう。己の宿主の精神に負担をかけないために。考えられるのは悪魔の翼だが……
(こればっかりは推測するしかないか。流石に数年前にQED消し炭にされた上級悪魔の事を教えてくれ、なんて言えないしな)
何処までも自分は無力だと思う。
(何処まで弱くて無力なんだよ……オレは)
微かに脳裏に浮かぶ赤き血を持った金色の髪の少年の姿。あの日から力を渇望し続けた。アウトレイジの仲間となって与えられた力や、赤き血の力を使いこなせる様になったとは言え、まだ自分は無力だ。そう思わずには居られない。
「ごめん……守るって誓ったはずなのに、オレが無力で」
思わずそんな言葉が零れる。自分が彼女の側に居て良いのか……捨てた筈の迷いは再び四季の心を捉え始めていた。
だが、それは同時により強い力を望む為の燃料にもなる。神器が所有者の思いに応えると言うのならば、彼の神器であるアウトレイジの書の目覚めに合わせて覚醒した赤き血も彼の力への渇望にあわせて眠っていた力を目覚めさせようとしていた。
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