二十四章 幕間劇
短刀の持ち主×藤川での茶の湯
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ぶ作法であった。やはり自然的になるようなもんだなと思いながらだった。
「・・・・ふむ、苦いの」
「あまり良い茶が手に入りませんで。とはいえ、苦いこそ、それを素直に口に出せば肩の力の一つも抜ける。菓子も甘く感じられる。そう思うのも一興かと」
まあ確かに苦かったが、これはこれでいい。俺達の船に行けば高級茶葉を使ったお茶や紅茶が飲めるが、今は秘密にしておこうか。俺らの世界では次元の狭間本家ではルシファーの趣味で作っているからな。とそう考えながらだったが、幽は懐から小さな壺を取り出した。
「では、二服目はそれがし秘蔵のものでいかがですかな?」
二杯目か、まあいいけど。
「ふむ。ではそれももらおうか」
答えるのは俺ではなく一葉だったけど、俺も大人だから苦さも知っている。そう答えるのも礼儀だと思っちまえばいい事だからなのか、一葉の答えで静かに頷き、幽は茶碗を軽くすすぐと二杯目の準備をし始めるのだった。
「主様」
「ん?」
「・・・・苦い」
「はいはい分かってるよ、菓子だろ。口を開けろ開けろ。あーん」
「さすが主様じゃ、あーん・・・・むぐむぐ。美味いの」
まあホントは色々と作法があるが、今回は最低限のマナーがあればいいらしい。
「一真様がいらした世界では、茶の席は堅苦しい席となっていますかな?」
「まああるにはあるが、俺はたまにしか参加はしない。茶碗の拝見をしたり、作法やら座り方にも順序があるくらいだ」
「ふむ・・・・今の流行りもそうですからな」
「まあな、身内ならどうこう言うつもりはないさ、高価な器を褒めようが妾のおねだりに応じた菓子を食べさせようが好きにすればいい。と幽の心の声ではそう言っている」
「それがしの心を読むとは、まあ連歌も茶の湯も、元々はそれを題材にして、皆で楽しく集まる事が目的だったはずなのですがなぁ・・・・」
「京の貴族共もしておるが、今は歌を詠む事や茶の席そのものが目的になっておるからの」
幽の作法はそれなりにしっかりしているし、茶を美味く点てるための手段に過ぎんし剣術を上手く扱うための修練とあまり変わらないと俺は思う。剣の使い方にもそれなりにあるからな、茶の練り方も手段であり目的ではない。刀も同じように上手く使うには稽古が必要。
「さて。二服目が練れましたぞ。一真様、どうぞ」
「頂こう」
さっきと同じようにして茶碗を回してから飲むが、幽秘蔵というのはとても美味しいと思った。本来正面は不作法であるから回しているし、回さなかったら間接キスだ。
「・・・・先ほどのよりも美味いな」
「秘蔵と申し上げたでしょう?」
「まあこれはこれで秘蔵になるな・・・・」
残り半分を一葉に渡してから、俺は感想を口に
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