二十四章 幕間劇
短刀の持ち主×藤川での茶の湯
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の熱を受けて、ゆっくりと沸き立っているようだった。小さな壺からお茶を茶碗に出して、茶釜で沸いたお湯を注ぐ。竹製の茶筅はお茶を点てるのに使う道具であり、抹茶にお湯を加え茶碗の中でかき回して均一に分散させる茶道具の一つだ。それをかき回している幽の動きは茶道そのものだと思ったから、茶道の心得有りだな。
「ほう。さすが幽だな、手慣れた様子だ」
「茶道を心得ている一真様に褒められるとは、さすがのそれがしでも驚きは致します。嗜み程度ではあります」
「あまり幽を褒めるでない。つけあがるぞ」
「亭主はつけあがらせてなんぼでしょうに。機嫌を良くすれば、次の菓子はもっと美味しい物になるやもしれませんぞ?その時は一真様お手製の菓子かもしれませぬ」
「そうか。では、褒めておくか。・・・・見事なり、幽」
「とってつけたような褒め言葉、恐悦至極」
そうは言うけど、船上なのに揺れもしない。まあ小さな舟だからなのか、流れが緩やかなのかそれとも水の精霊が揺らさないようにしてもらっているのか。幽の動きは、床の上と変わらずな乱れもない動きでもある。馬の上で茶を立てた事あるのか?と聞くと一葉はあるようだったらしいが、馬上にどこに茶釜を置くのだろう。
「さて。茶が練れましたぞ」
幽は話をしながらであったが、手を止めてから茶碗を差し出す。
「ではまず、一真様から」
「ん?一葉からじゃねえのか?」
「構わぬ。先に呑め、主様」
「うむ・・・・では頂こう」
茶碗を右手でとり、左手にのせ、右手を添えて軽くおしいただき、茶碗の正面を避けるために、ふところ回し(時計の針の方向と同じ)に二度まわして、向きを変えてから飲み始めた。そして一口飲んでから、茶碗を置いたのだった。
「これはこれで上手い」
「一真様は茶道の心得有りなのか、自然とそうなりますか。それにそれは二人分である事を分かっていた上で、半分残すとはさすがとも言いましょうか」
回して飲むから、半分飲んでから置いたけど。
「・・・・ふむ」
俺は濃い茶を半分飲み干した後だったが、何やら一葉から漏れた声が聞こえたような。
「久々に苦いがこれはこれで良い」
「だったら茶菓子を食うと良い。・・・・食べさせたやろうか?主様」
「そうか?まあ亭主である幽は景色を見ているから、これが気遣いという奴なんだろうな。ならば、あーん」
「あーんじゃ、主様」
自然的にあーんをした後は、口の中に甘い物が入ってきたがこれは何の菓子かな。美味しいと言ってから、次は一葉の番。
「では、次は余の番じゃな」
中身が半分となった茶碗を受け取って、俺は回したが一葉は回さずに口元に運ぶのだった。一葉は作法いらないと言いながらも、少し回してから口に運
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