暁 〜小説投稿サイト〜
戦国†恋姫〜黒衣の人間宿神〜
二十四章 幕間劇
短刀の持ち主×藤川での茶の湯
[5/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


「余が見つけたのじゃ。たまには街を歩くのも役に立つであろう」

「そうですなあ」

先に使いの者達が支度を済ませていたのか、道具を載せた川舟は、幽の船頭で岸からゆっくり漕ぎ出して、やがて流れの緩やかな場所へとたどり着いた。

「ここはとても良い風は吹く・・・・」

「うむ。忙しい日々が、まるで嘘のようじゃ」

「秋になれば、ここら周辺一帯は紅葉だらけとなりそうだな。それに緑もとても喜んでいるかのように思われる

桜の時期は過ぎたからなのか、景色を眺めるのは自分で飛ぶ以来だな。太陽光を浴びてまるで喜んでいるかのような感じで、自然の精霊たちからの声が聞こえてくる。山もずっと同じ色とは違う、春の風や夏の風とも違ってくる。

「おや?さすが一真様とでも言いましょうか、緑を見ただけで違いが分かるとは」

「ここはとてもいい環境のようだ、四季によって違うというのがよく分かる」

「その通りでございます。その都度都度の良さを探す事も、遊びの醍醐味。つまらぬやら退屈とこぼすよりも、そのような小さな変化に顔をほころばせ、時の流れと幸せを感じ取る。人の世もかくありたいものですなぁ」

「・・・・幽がまともな事を言っているような気がするが、俺の気の所為か?」

「気の所為でしょ、それがしはいつもまともな事しか言うておりませぬ」

「そうか?いつも銭が足らん、銭が足らんとしか言うておらん気がするが」

そうしたら幽は、一葉には働いてくれや狼藉は働くなとしか言うた覚えがないと聞く。そういうとまるで聞かなかったように、聞き流す一葉であった。幽に確認したが、前に室内での作法を一通り教わっているが、茶道の作法は奏から教わっているが今日はそれはいいのかと。

「茶道・・・・?」

「ははは。京や堺では茶の湯にもそういった道を付けようとする輩がおるようですが、一真様は茶道の心得があると?今日はそのような事は気にせずともよろしいかと存じます」

「まあな、奏から学んであるが今日はいらないのならそれでいい」

「なるほど。奏様から学んでおるようだと、それがしたちも必要な知識だと思いますな」

「だが、皆で茶を囲みながら楽しく時を過ごせば十分であろ。ここは三人しかおらぬゆえ、堅苦しい事は必要あるまい」

・・・・船ではたまに和服を着て、茶道をしているけど。俺は普段着を着ているが、ちゃんと正座してやっている。奏も元々和の心得があるからなのか、まあ今は普段通りでいいと言う幽。席を楽しみ、寛ぎこそが今回亭主としての幽が一番の喜びとも言うべきだ。この舟の上は三人しかいないからか、一葉もそれでいいと言うけど。

「さて。湯も沸いたようです。そろそろ茶の支度も致しましょうか」

幽の傍らにあった小さな茶釜は、下の小さな炉
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ