第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
七月二十六日・夜:『スクール』
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・》って?」
「…………!」
──そもそも、この娘は……護らなきゃいけない娘の筈だろう?
その一言。まるで、長い時を共にした幼なじみか……或いは、恋人にでも囁かれたような。抗えない、妖魅を持っていて。
「……本当、だ。それは、死体を動かすOSみたいなものだ」
「…………あら、そう」
返した、本心からの答え。間違いではない、正しくもないだけで。少女は、あっさりと体を離す。用は済んだとばかりに、実にあっさりと。
「……嘘は吐いてない。確かに、これが『研究成果』みたいよ」
「そりゃあ驚きだ。まさか、マジで寄越してきやがるとはな……自分で言っといて何だが、本当に長生きするぜ、お前」
ナイトドレスの少女、今度は反対の手の爪にマニキュアを塗る少女の言葉に、頷いた。帝督はそれに、感心したような呆れたような表情を浮かべて。
──この女……『精神感応』か何かの能力者か?
そう、思考した。帝督が簡単に信じたからには、恐らくはそうだろう、と。
危うい話だ、虚実を入り交じらせていてよかった。もし、完全な嘘ならば見抜かれていたかもしれない。
「────『心理定規』よ。『精神感応』程度と一緒にしないでちょうだい」
「ッ……?!」
そう思った瞬間、届いた声。そしてマニキュアを塗りつつ、こちらを不機嫌そうな眇で見遣る少女の眼差し。
見抜かれたか、そうおもうよりも早く────思考の回転を止める。
「面白い能力ね、思考を止めるなんて。だけど……遅かったわ、あなた」
少女が口を開く。三日月みたいに、酷薄に。
「でもこいつ、嘘は吐いてないけど……何か隠してる」
「「「「「─────!」」」」」
その言葉が、開戦の口火を切る事を知っていながら。くすくす、と嘲笑って。
間髪などは入れていられはしない、先手を打たねば負ける。決意に両掌に力を籠めて、指の震えを押し止めながら長谷部を抜く────よりも早く、握り締めた両掌がぐしゃりと潰れた。
「─────な」
ポカンと眺める程、本当に呆気なく。在らぬ方向に指が向いている。『まるでバナナの皮のようだ』等と考える暇があって、そして後から。
「ガ────あ、ガァァぁぁッ?!?」
正気を失いそうな程の激痛が、遅れてやってきた。
「こんなものか……格好は虚仮脅しらしい」
膝を突き、苦痛
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