第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
七月二十六日・夜:『スクール』
[6/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
れ……情けない事を》
呆れたような“悪心影”の声に、無為と知りつつ反駁を。確かに、情けない話だ。敵が強いから尻込むなど、心の底から己が情けない。
だから、という訳ではないが。今更、沸き起こる対抗心。そして────
「この研究所の成果ってのは……何処だ?」
『……此処に在るニャアゴ』
第二位『未元物質』、垣根 帝督の声に我を取り戻す。
ショゴスに納めていた、『それ』を取り出す。闇の臓腑に手を突っ込み、掻き分け、引き摺り出し────路面の『紅い花』のとなりに、投げ転がす。
「……何だ、コリャ?」
『さぁニャア、難しい事は分かんないけど……それが、『研究成果』だナ〜ゴ。ソイツが、死体の内側に入って操り人形だニャアゴ』
路面に咲いた、『蒼い花』。それを為したのは、怪物の死骸から吹き出た異形の血液。即ち、ミ=ゴの死骸の血液である。『研究成果』、が何か。それは、実際に現場を目撃した者しか知り得ない。そう、『これが本当に研究成果かどうか』を、帝督達は此方の判断に任せるしかない。
その筈だ、と。嚆矢は息を飲む。下手な動きを見せぬよう、顔色を……特に、背後の二人のモノを窺わせぬようにヘラヘラと笑いながら。
まともに此方を見ていたゴーグルの少年が、ミ=ゴの悍ましい姿に堪らず目を背ける。しかし、帝督は一瞥をくれただけで。
「へぇ……そりゃ、マジか?」
変わらぬ冷笑を浮かべたまま、背後へと。
「はぁ、面倒……こんな男、趣味じゃないんだけど」
その呼び掛けに答え、少女が歩み出た。派手なドレスの、恐らく年下の。その眉目秀麗な顔立ちが、ゆっくりと近づいてくる。実に、不味い。ゴーグルの少年ならば人質に取り、脱出する算段とする事も出来たかもしれない。それが達成可能かは兎も角として。
「────距離単位20」
しかし女性ならば話は別だ、嚆矢は『誓約』により『女性には優しく』しなければならない。
即ち、本人にとって不可能なだけでなく……もしも最愛やフレンダが彼女を人質に取った場合、彼女の苦境を解消しなくてはならないのだ。
──否、そもそも……この娘は。
「ねぇ、嚆矢」
無抵抗なままの嚆矢の耳元に寄せられた唇が、小さく囁く。名乗ってもいないのに、実名を囁きながら。
「これ、本当に『研究成果』? ねぇ、本当の事、|言《
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ