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Shangri-La...
第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
七月二十六日・夜:『スクール』
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れ……情けない事を》

 呆れたような“悪心影(あくしんかげ)”の声に、無為と知りつつ反駁を。確かに、情けない話だ。敵が強いから尻込むなど、心の底から己が情けない。
 だから、という訳ではないが。今更、沸き起こる対抗心。そして────

「この研究所の成果ってのは……何処だ?」
『……此処に在るニャアゴ』

 第二位『未元物質(ダークマター)』、垣根 帝督(かきね ていとく)の声に我を取り戻す。
 ショゴスに納めていた、『それ』を取り出す。闇の臓腑に手を突っ込み、掻き分け、引き摺り出し────路面の『紅い花』のとなりに、投げ転がす。

「……何だ、コリャ?」
『さぁニャア、難しい事は分かんないけど……それが、『研究成果』だナ〜ゴ。ソイツが、死体の内側に入って操り人形だニャアゴ』

 路面に咲いた、『蒼い花』。それを為したのは、怪物の死骸から吹き出た異形の血液。即ち、ミ=ゴの死骸の血液である。『研究成果』、が何か。それは、実際に現場を目撃した者しか知り得ない。そう、『これが本当に研究成果かどうか』を、帝督達は此方の判断に任せるしかない。
 その筈だ、と。嚆矢は息を飲む。下手な動きを見せぬよう、顔色を……特に、背後の二人のモノを窺わせぬようにヘラヘラと笑いながら。
 まともに此方を見ていたゴーグルの少年が、ミ=ゴの悍ましい姿に堪らず目を背ける。しかし、帝督は一瞥をくれただけで。

「へぇ……そりゃ、マジか?」

 変わらぬ冷笑を浮かべたまま、背後へと。

「はぁ、面倒……こんな男、趣味じゃないんだけど」

 その呼び掛けに答え、少女が歩み出た。派手なドレスの、恐らく年下の。その眉目秀麗な顔立ちが、ゆっくりと近づいてくる。実に、不味い。ゴーグルの少年ならば人質に取り、脱出する算段とする事も出来たかもしれない。それが達成可能かは兎も角として。

「────()()()()()()

 しかし女性ならば話は別だ、嚆矢は『誓約(ゲッシュ)』により『女性には優しく』しなければならない。
 即ち、()()()()()()()()()なだけでなく……もしも最愛やフレンダが彼女を人質に取った場合、()()()()()()()()しなくてはならないのだ。

──(いや)、そもそも……()()()()

「ねぇ、()()

 無抵抗なままの嚆矢の耳元に寄せられた唇が、小さく囁く。名乗ってもいないのに、()()を囁きながら。

「これ、本当に『研究成果』? ねぇ、()()()()、|言《
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