第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
七月二十六日・夜:『スクール』
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のような橙色の髪。月の光の元、まるで映画の男優のように繊細な優男が笑い掛けてくる。
──百分の一……だな、こりゃあ。
覚えがある。知っている。その顔は、知っている。見た、白い部屋の中で。
『良く覚えておけ、第七位の次はコイツが目標だ。“観測されていない未知の粒子を産み出し、操る能力”。それが─────』
一瞬のフラッシュバックを、振り払う。呆けている場合ではない、切り抜けねば。何としても。
気付いたらしい、フレンダと最愛が身を強張らせる。当たり前だろう、暗部で『最大の組織』の頭目が目の前に居るのだから。
「で、モノは相談なんだが……ここの研究はウチも狙っててよ。何か手に入れたんなら、水に流す代わりに譲ってくれねぇか?」
『……それは、強制でニャアゴ?』
「任意さ────決まってんだろ?」
『じゃあ、仕方ないニャア。命には代えられないしナ〜ゴ』
「いい判断だ。長生きするぜ、気狂い猫」
『お褒めに預かり、光栄ですニャア。超能力者・第二位────』
そうならないだろう事は、肌を刺す殺気が雄弁に。笑う少年は戯れに、獲物が足掻く様を楽しもうとでも言うのだろうか。
「『未元物質』“垣根 帝督”!」
背後にこちらには無関心にマニキュアを塗るナイトドレス姿の少女と、特徴的な形をしたゴーグルを嵌めた少年を引き連れて。
「へぇ、俺も有名になったもんだ……まさか、猫にまで名を知られてるとはなぁ?」
学園都市で第二位の実力を持つ男は、にたりと陰惨な笑顔を浮かべた。
「……二人とも、手ェ出すな……考えがある」
「考えって、けど」
「……あの『未元物質』相手に、小手先で超何ができるってんですか」
暗い、実に昏い。この夜の闇が、光かと思える程に。この『アイテム』の活動が、お遊びと思えるくらいに。能力名の通り、暗黒の物質その物を纏うかのような、その男。
嘲笑と蔑みを孕む視線を向けられているだけで、夏場だというのに息を吸う唇が震える。長谷部の柄に掛けた指が、鯉口を切ろうとする指が。疲労に────否、畏怖に、まともに動かない。
「で?」
「ッ!」
冷笑を浮かべる唇が開かれた。その一言だけでも視界がブラックアウトしそうな程、緊張が走る。頭が割れそうな程、脳が沸騰しそうな程に血が逆流する。
《阿呆、呑まれるでない。実力で負け、気持ちでまで負ければ……そこで終わりぞ》
(ッ……簡単に言うな。相手は超能力者、『一人で軍隊を相手に出来る能力者』の第二位だぞ)
《やれや
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