第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
七月二十六日・夜:『スクール』
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第六天魔王が現れるぞぉぉぉ!》
(否、数字が多過ぎて訳分からんし)
外套で血糊を拭った長谷部を鞘に納め、脳内で意味の無い駄弁りをしながら、歩み寄りつつ最愛に呼び掛ける。駆動鎧を殴り飛ばした反動でへたり込んだ彼女に、猫の手を差し伸べて。
「私の事より……あの超黒い棘の方は?」
それに返ってきたのは、照れとか反発とかそんな物ではなく。ただ、苦い表情。やはり、『麦野沈利』の恐怖はでかいらしい。いや、嚆矢とて勿論、彼女は恐ろしいが。
なので、安心させるかのように。既に拾っていた、『黒い棘』を見せる。
『回収済みニャア、後は帰り着くまでが潜入任務ナ〜ゴ』
「……はは。こんな時にまで、良くも超巫山戯られるもんですね」
正確には、まだ『張本人』を捕まえていないが。今日はこれでいい、十分な成果だ。どのみち統治委員会に睨まれている輩に、学園都市からの脱出の機会はない。それに、居場所は掴んでいる。勝負はもう、ついたも同然だ。
再び変声してヘラヘラ戯ける嚆矢の掌に、小さな掌を重ねてきた最愛の小柄な体を引き起こす。少し前にもやった、しかし今は……右肋と左胸に重傷を負っている事を忘れていた。一瞬気が遠くなったが、ショゴスの猫面で隠されているのだから問題はない。
『あんまりモタモタしてると外から来るかもしれないニャアゴ、さぁ最愛ちゃん』
「は……?」
そして、最愛に背を向けてしゃがみこむ。それを、彼女はポカンと眺めて。
『足、あの槍使いのヤツが効いてるみたいだニャア。不肖ジャーヴィス、エスコートさせていただくナ〜ゴ』
「っ……超何の事ですか? キモいこと言ってんじゃねぇです、この胡麻擂り猫撫で声野郎」
『し、しどいニャアゴ……』
一瞬、槍使いの『柄還』に打たれた足を庇って。その時歪めた表情を隠すように、悪態を吐く。
対し、背を向けている嚆矢はそんな最愛の機微にも気付かず────
(成る程……これが、絡繰りか)
《そうじゃ。あのみ=ご共の科学力の産物じゃな》
目の前に転がる、怪物と銀色の筒……ミ=ゴと、その携えていた『それ』──つい今まで生きていただろう『能力者の脳味噌』を、溢れ落ちた筒の中身を見詰めて。
(取り込め、ショゴス。後で調べるから、喰うなよ?)
『てけり・り。てけり・り……』
望外の良餌を顎の中に納める事しか許されず、ショゴスは不承不承それを呑み込んだ。これで魔術の隠蔽は完了した。
『さあさ、遠慮無くどうぞニャア。急がないと、ホラ、シャッターが降りて閉じ込められちまうナ〜ゴ』
「この程度、超平気です。議論の時間こそ超無駄、急ぎますよ!」
と、嚆矢の脇をすり抜けた最愛。僅かに腫れた、右足を
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