十二話:うちの猫は可愛いです
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なことを思いついたような顔をする黒歌に思わず後ずさる。
絶対、俺にとってまずいことを考えてるよなあの顔は……。
まあ、今回は俺が悪いから逃げ道なんてないけどな。
「はあ…わかった。手加減してくれると嬉しいけどな」
「それはないにゃ。ルドガーだって手加減してくれなかったんだし」
「うっ!」
本当の事だから言い返せないな……。
こうなったら覚悟を決めるしかないか!
……決めたとこで何かが変わるわけじゃないけどな。
「そう言えば…ルドガーの時計って高そうよね」
ヒョイと俺の時計を手に持ち光にかざしたりしてしげしげと眺める黒歌。
「これ何で出来てるのかにゃ?」
「多分、純金じゃないか?」
「純金!?そ、そんな高価なものだったのかにゃ!?」
「まあ、実際には製作者に聞かないと分からないけどさ」
それを作ったのはクロノスだろうし。
というか、生まれた時から持ってるってどういう事なんだ?
契約として力のあるクルスニク一族に渡されるように出来てるのか?
「……もしかしてルドガーってどこかのお金持ちの御曹司だったりする?」
「俺は普通の家庭で育ったぞ……親のことは殆ど知らないし、ずっと兄さんと二人で暮らしてきたんだ」
「あ……ごめんにゃ」
聞いてはいけないことを聞いたしまったと思って謝ってくる黒歌。
うーん…俺としては別に不自由なことなんかなかったし父親はあんなのだしなあ。
兄さんがいてくれたから寂しくなんかなかった……。
母親は……兄さんの手紙や記録からすると………やめよう、考えても仕方ないよな。
後、よくよく考えてみると俺って御曹司だったんだな。
高額負債者&ニートだったけどさ。
あはは……はあ…泣きたくなるな。
「まあ、大したことじゃないから気にしないでくれ」
「でも……」
「どうしても気になるなら埋め合わせを手加減してくれると嬉しいな」
「それは無理にゃ」
「ははは!」
笑いながら黒歌から時計を返してもらう。
この時計が高価な物かどうかなんて俺にはどうでもいいことだ。
ただ、これはエルとの大切な約束の証なんだ。
これを持っている限りはエルと繋がっていられる、だから絶対に手放したくない。
………そう思うのは俺がまだ前に進めていないからなのだろうか?
Side黒歌
にゃうー……まだ体が火照ってるにゃ。
まさか、ルドガーに弄ばれるなんて思ってもみなかったにゃ。
それにしても……あ、あんなに色っぽい声で言葉攻めなんて反則にゃ!
あの声を聴いただけでゾクゾクしちゃってまともに考えられなくなるから
猫の姿でいられなくなって人の姿に戻っちゃったにゃ。
でも、そのおかげでルドガーがやめてくれたから良かったんだけど…ちょっと残念
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