マブラヴ
0828話
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その瞬間、政治家の中の1人が怒声を上げる。
「幾ら何でも、バソールト副長官の独断専行が過ぎます!」
「私は首相からこの件に関する全権を預かっている。その範囲内だ」
「だが、それでも! 我が国の首相を、このような怪しげな相手との……」
ほう、この期に及んでもまだ事態を理解していない奴がいるとはな。
現状ではほぼ詰んでいるこの世界、俺達が見捨てたとしても人類滅亡……となるかどうかは分からないが、それでも現状ではその可能性の方が非常に高い。
「黙らんか!」
叫び声と同時に、振るわれる拳。
政治家がやるべき事じゃないと思うが、現状を理解しているからこその言動なのだろう。
そのまま政治家を殴り飛ばした後で、クリメナが頭を下げてくる。
年齢の割に元気なのはマブラヴ世界だからなのか、あるいは本人の資質故なのか。
ともあれ、クリメナは頭を下げたまま口を開く。
「うちの国の政治家が失礼な事を言った。許して欲しい」
「……一応聞くが、オーストラリアとしては俺達と国交を結びたい。そういう認識でいいんだな? 別にこっちとしてはこの世界に対して必ずしも交流を望んでいないし、どうしても交流するにしても、アメリカや日本、イギリスに手を伸ばすという選択肢もある。俺達がオーストラリアを最初の交渉国として選んだのは、単純に転移した先がオーストラリアだったからという理由以外にはないんだが」
現状、この世界ではアメリカがトップを独走しており、その随分後ろをオーストラリアが。その次を日本とイギリス。その後ろがロシアといった具合になっている。
どうしてもこの世界と交渉をするというのなら、別にオーストラリアである必要は無いのだ。
「……勿論だ。2度とこんな事は無いように注意するので、今回は穏便に収めて欲しい」
頭を下げる相手に小さく溜息を吐き、口を開く。
「俺達の協力が欲しいのなら、せめて意見の統一だけはしておいてくれ。首相との会談の日程が決まったら、連絡を頼む」
それだけ告げ、量産型Wに指示して俺の姿はホワイトスターへと転移するのだった。
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